「10億円到達」へ新たな柱を ふるさと納税寄付 2年連続9億円台 地場海産物以外での返礼品が鍵に
令和8年4月29日付 1面
大船渡市への令和7年度におけるふるさと納税寄付は、通常寄付分が8億3123万円となり、前年度比で約4700万円増加した。大規模林野火災発生に伴う災害支援分を含めると、前年度に続き9億円台に乗せたが、目標としていた10億円には届かなかった。地場の海産物をはじめとした「第1の柱」に加え、大規模な加工拠点を生かした返礼品といった「第2の柱」を持つ重要性も浮かび上がる。市や業務委託事業者、商工会議所では本年度の10億円到達に向け、返礼品の充実に力を入れる。(佐藤 壮)
ふるさと納税の前年度実績は、大船渡商工会議所が24日に開催した「大船渡市ふるさと納税掲載事業者対策セミナー」で示された。商議所では5年度から、物価高騰などの影響を受け、苦境に立つ事業者への支援事業として、ふるさと納税業務を受託しているパンクチュアル㈱(高知県須崎市)や大船渡市と連携している。
同市への寄付実績は3、4年度は2億円前後で推移していたが、パンクチュアルが受託した5年度は4億9694万円に増えた。6年度は、毎年申し込みが増える12月だけで2億円を超え、通常寄付は7億8441万円に伸びた。大規模林野火災発生に伴う災害支援寄付は7005件、1億1785万円で、通常寄付と合わせた寄付総額は9億226万円となった。
7年度の通常寄付は、5万6003件で計8億3123万円。前年度と比較し、件数は933件(1・7%)、金額は4682万円(6%)それぞれ伸びた。これに加え、災害支援寄付が1119件2891万円、他自治体が手続きをした災害代理寄付が2466件4265万円あり、総額は9億279万円だった。
災害によらない通常寄付も伸びたが、7年度の目標額10億円には届かなかった。令和4年度以前と比べて返礼品を出す事業者
が3倍を超えるなど、多種多様な返礼品がそろいつつある半面、海産物など主力ジャンルへの偏重も指摘される。海産物は人気が高いが、気候変動や漁獲量に左右されやすく、出品停止による機会損失のリスクも出やすい。
返礼品の内訳をみると、生ウニや鮮サンマといった海産物が最も多く59・3%を占める。次いで加工品11%、菓子類7・6%、海藻5・5%などと続く。寄付単価は1万円が63・3%と圧倒的に多く、1万円以下も17・2%と「お試しできる低価格帯」として利用がある。
同セミナーで講師を務めたパンクチュアル大船渡営業所の佐藤陽子所長は、寄付額が10億円を突破する自治体の共通点として地場産品による「第1の柱」に加え、高単価で安定供給できる返礼品による「第2の柱」を持つ重要性を強調。「第1次産業中心のポートフォリオ(返礼品の組み合わせ)はすでに、上限に達しつつある。新たな製造拠点確保や工業・加工品ラインアップの拡充が急務」と指摘した。
そのうえで、海外を含め地元外の食材を大量に仕入れて市内事業所で加工するといった返礼品で、人気を集めるケースも紹介。食材加工や冷凍、乾燥させるといった食品工場の活用を挙げた。
市などでは、本年度も目標額は10億円を掲げる。佐藤所長は水産分野の返礼品として、マグロやサーモン、カツオに加え、人気が高まっているカキの充実に向け、理解や協力を求めた。
このほか、リピーター獲得のこつとして、返礼品に添える「お礼状」「チラシ」の充実も解説。メディア露出と、その情報共有による在庫管理の重要性にも言及した。
市では寄せられた寄付を基金化し、独自事業に充てている。本年度は、移住・定住促進事業や防災士養成研修などに充当する方針。また、返礼品の生産・製造を担う事業所側にも売り上げ向上といったメリットがあり、今後もさらなる積極的な展開が求められている。商議所などでは引き続き、地元事業所の参入支援や相談対応に当たる。
5年度以降の寄付推移は別掲。






