園地拡大事業 着々と 北限のゆず研究会 900本植える3年計画 本年度が最終年 東北一の産地目指す
令和8年5月1日付 1面
陸前高田市の北限のゆず研究会(佐々木隆志会長)が園地拡大に向けて取り組む植樹事業は、本年度の200本で合計900本を植える3カ年計画が終了する。同会は産地の北限という唯一無二の強みを生かして東北一の産地に押し上げようと、年間収量30㌧突破を目指している。これまでの収量は最高で年12㌧。目標達成は容易ではないが、新たに植えた苗木を丁寧に管理しながら地道に生産拡大を進めていく。(高橋 信)
本年度最初の植樹会は4月29日、米崎町のガーデン「花っこ畑」で行われ、約20人が参加。同所は小友町の吉田正子さん(76)が東日本大震災で被災した自宅跡地に整備した畑で、参加者は園内に咲くきれいな花をめでながら、約20本の苗木を植えた。
後半には佐々木拓市長も駆けつけ、一緒に作業。終了後は園芸ハウスの中で、ゆず茶やこんにゃくのユズみそ田楽を味わいながら和やかに懇談した。
同会の活動を応援するボランティア「ゆず狩りサポーター」で、大阪市から参加した酒徳溢子さん(79)は「北限というフレーズにひかれ、4年前にサポーターになった。植えた木が大きく育ち、ユズがたくさん実ればうれしい」と期待を込めた。
佐々木市長は「北限のゆずは味も自慢の当市の宝物。特産品としての大きな可能性を秘めており、これからもっと生産拡大していくことを願っている。皆さんと一緒にユズの収穫もしたい」と話した。
主産地が西日本に集中しているユズ。研究会によると、陸前高田市では200年以上前から生えているといい、世界的に希少とされる樹齢100年以上の木も15本以上確認されている。
長年、産業用ではなく、家庭の庭木としてほぼ自家消費されてきた中、平成22年に酒造会社㈱南部美人(二戸市)が価値を見いだし、東日本大震災発生から2年後の25年、「北限のゆず」としてブランド化を図ろうと、市内農家などでつくる研究会が発足した。
研究会は県内外の物産イベントなどに積極的に出店し、ユズ酒や菓子などの原料として扱う業者が拡大している。
一方で、大きな課題が生産量のばらつきだ。ユズは豊作と不作を1年ごとに繰り返す「隔年結果」の性質を持ち、年間収量は2~12㌧台と波があり、高い需要に応えられる安定した供給力が求められている。
こうした現状を踏まえ、研究会は令和4年度、計画的に増産していくための基礎データを集めようと、市内全域と大船渡市の一部地域で初の園地調査を実施。結果を踏まえ、6~8年度の3年間で合計900本の苗木を植える事業に移った。7年度までに700本を植え、本年度は残り200本を順次植える。
佐々木会長(66)は「今回は佐々木市長にも植樹に参加していただき、ゆず狩りサポーターとの交流の時間も設けられて有意義だった。課題は山積しているが、ポテンシャルは高い。30㌧の目標に向かってみんなで協力し合う機運も高めていきたい」と前を向く。






