クマ、倒木… 安全確保に奔走 散策シーズンの碁石海岸 地元内外の来訪者に注意喚起
令和8年5月9日付 1面
初夏も近く、散策が心地良い時期を迎えた中、大船渡市を代表する景勝地の碁石海岸では、ツキノワグマ出没とマツなどの倒木への対策に関係者が奔走している。4月末からツキノワグマのふんが確認されるようになったほか、ゴールデンウイーク中に見舞われた強風に伴う倒木で、遊歩道の一部で通行を制限。関係者は「人間がコントロールできない自然状況も理解したうえで、散策を楽しんでほしい」と呼びかける。(佐藤 壮)

強風の影響で折れたとみられるマツ
三陸復興国立公園の碁石海岸は、代表的な景勝の穴通磯を眺めるだけでなく、乱曝谷・雷岩の展望台周辺に広がる遊歩道沿いの散策が人気を集める。市外からの観光客だけでなく、市民らも気軽に訪れ、四季折々の景色を楽しむ。
初夏ともなれば、繁殖期を迎えるウミネコの姿や、ニッコウキスゲの開花などを楽しみにしている地域住民は多い。市街地に比べると冷涼で、日中時間帯でも歩きやすい日々が続く。
碁石海岸インフォメーションセンターのスタッフは散策シーズンを歓迎する一方、ツキノワグマの出没に気をもむ。先月末、園地内でクマのふんが見つかり、その後の巡回でもスタッフが園地内の別の場所で確認した。近年、園地内でスタッフが目撃したことはないという。
この状況を受け、遊歩道には注意を促す看板を設置したほか、来訪者には▽鈴や話し声で、自分の存在を知らせる▽遊歩道から外れず、開けた場所を歩く▽食べ物を放置したり、餌付けにつながる行為は避ける──などの行動を求める。キャンプ場利用者にも、就寝時は食べ物を外に置いたままにしないよう呼びかける。
同センターではゴールデンウイーク中、倒木の対応にも追われた。今月2日、大船渡で5月としては観測史上最大となる最大瞬間風速29・7㍍を記録する強風に見舞われ、園地内では倒木が相次いだ。
同センタースタッフが対応に当たり、遊歩道の多くは通れるようになった。それでも一部で幹が破損したマツが完全に倒れず、近くの立ち木に引っ掛かって不安定な状態となっている「かかり木」が発生していることから、通行を制限している。
4日も穴通磯の展望台付近で倒木が発生したが、一時的な通行制限で済んだ。これまでの強風でダメージを受けた木々も考えられ、強い風に見舞われた日に枝の落下や倒木も懸念される。
散策者の安全確保策としては、なるべく見通しのいい遊歩道を選び、遊歩道から外れない歩行が重要。幹が割れるような音や枝同士がぶつかる音への注意に加え、園地内で「ギー、ギー」といった異音を耳にした場合も、木々に近づかない対策が求められる。
3、4日には碁石海岸観光まつりが開催され、まつり運営者が多く園内に入り、危険がないか終始目を光らせた。市内外から多くの観光客が詰めかけた中、人的被害はなかったが、平常業務が続く今後は、巡視が手薄になる時間帯も予想される。
同センターでは「ツキノワグマは都市部でも見られるようになり、どこに出てもおかしくない状況。私たちは自然を〝楽しませてもらっている〟側でもある。来訪者のクマへの関心・警戒は高まっているが、自然動物や気象条件をはじめ、コントロールできない状況を再認識しながら散策を楽しんでほしい」と理解を求める。






