新調した網で初水揚げへ 火災で被害の綾里漁協定置 乗組員らが操業開始へ準備(別写真あり)
令和8年5月12日付 1面
昨年の大船渡市大規模林野火災で定置網などが被害を受けた三陸町綾里の綾里漁業協同組合(和田豊太郎組合長)は今季、新たに整備した網で操業を始める。昨季は、同業者らの協力、支援で借り受けた網を使って、約1カ月遅れで水揚げを開始。今季は例年通りの時期から漁を行う見通しで、乗組員らが10日、定置網船を係留する綾里漁港の岸壁で準備作業に汗を流した。
同漁協では、昨年2月の大規模林野火災で、同漁港内にある定置・作業保管施設と、施設内に保管されていた大入、願松両漁場2カ統分の定置網漁具4セットが焼損。例年は5月の連休明けから水揚げを始めるが、漁をするための道具を失い、操業は絶望的な状況となった。
こうした中、大入漁場は釜石市に本社を置く㈲泉澤水産から網を借りて、約1カ月遅れの6月17日に初水揚げ。願松漁場は、岩泉町と野田村、北海道などから借り受けた網で8月1日から水揚げを開始した。
今季は、各種支援なども活用しながら新たな網の発注などを進め、先月中旬頃に新品が届いた。国では、定置網の再導入に対する支援補助割合を従来の2分の1から4分の3に引き上げるなどの財政措置を講じているが、残りの4分の1は漁協からの手出しが必要となり、金額も大きくなることから、全て新品にはせず、火災で被害を受けずに残った網を修繕するなどしながら、2カ統分の網を確保した。
10日は午前8時ごろから乗組員らが準備作業にあたり、定置網船や船外機の移動、海中に下ろす土俵いかりの確認などが行われた。新品の網は専門業者に引き渡し、海中で海藻などが付着しないようにする加工が施される。漁港内では、定置・作業保管施設の復旧工事が進められている中、乗組員らが息を合わせて作業し、活気ある浜の光景が広がった。
定置網漁の指揮を執る千田芳孝大謀(67)は、借り受けた網で操業した昨季を「網を借りた手前、漁に一生懸命だった」と振り返った。
大船渡市魚市場における定置網の水揚げは、漁況に恵まれず、令和7年度は数量が前年度比54・9%減の5463㌧、金額は同18・4%減の15億3349万円と落ち込んだ。魚市場全体でも2万㌧を割り込む状況で、主力の定置網の不漁が打撃となっている。
千田大謀は「昨季は以前と(網の)起こし方が異なり、1カ統ずつしか起こせなかったが、今季は両方ともやれる。最近は定置網の漁況が良くない中ではあるが、昨季から水揚げが倍になればいい」と見据え「例年通り、安全に操業できれば」と力を込めた。
同漁協では今後、大入漁場から網入れを行い、市魚市場への初水揚げは今月中旬以降となる見込み。






