火災警報の運用本格化 大船渡地区消防組合 乾燥・強風時に通年で対応

 大船渡市と住田町を管轄する大船渡地区消防組合は、屋外での火の使用を制限する火災警報発令の運用を本格化させている。大船渡市大規模林野火災を教訓に、昨年度新たに設けられた1〜5月を期間とする林野火災警報・注意報とは異なり、建物火災を含む火災全般が対象で、通年の発令となる。先月には大槌町でも大規模山林火災が発生した中、これまで以上に強風・乾燥といった気象条件下での注意喚起に力を入れる。(佐藤 壮)

 

 大船渡市と住田町に9日午前11時22分、聞き慣れない「火災警報」が出た。盛岡地方気象台の観測によると、同日は午前11時から午後1時にかけて平均風速が10㍍超の状況が続き、午後0時11分には最大瞬間風速28・2㍍を観測するなど、強風下での発令となった。
 同組合によると、この日は同気象台から暴風警報も出され、火災発生の危険な気象条件が続くとの判断で火災警報に踏み切った。前日までに降雨があったことから、林野火災警報と同注意報には該当しなかった。
 火災警報発令を受け、各行政や防災無線広報やSNSで周知。各消防施設では懸垂幕を掲示し、消防車両も広報のため巡回した。
 これまでも、火災警報発令に関しては規則を定めていた。具体的には▽実効湿度60%以下で、最低湿度40%を下回り、最大風速10㍍以上の風が2時間以上吹くと予想される▽平均風速10㍍以上の風が1時間以上続く見込み(降雨、降雪時は除く)──などを盛り込み、「必要があると認めた時に発令するもの」と明記。平成以降での発令は今回が初という。
 火災警報発令下では、屋外での火の使用に関して罰則があったことなどから、慎重な対応が続いていた。昨年の大規模林野火災を受け、同組合では林野火災警報・注意報の発令を盛り込む形で火災警報規則を改正。今年に入り、強風・乾燥をはじめとした気象予報に基づき、火災警報も迅速に発令する準備を整えている。
 今後、林野火災警報と火災警報両方の基準に合致する場合は、火災警報に統一する。
 同地区消防組合消防本部の佐々木剛消防課長は「強風下は飛び火の発生に加え、隣接する建物にも延焼しやすい。さらにヘリコプターによる空中消火も困難になる。前日に降雨があっても、乾燥・強風下の火災は延焼する。屋外での火の取り扱いには注意してもらいたい」と呼びかける。
 昨年2月26日に発生した大船渡市大規模林野火災は、午後1時2分の消防覚知後、最大瞬間風速18・1㍍の強風を受け、火元から東方向に約1・2㌔離れた区域にも拡大。約2時間後には東西約7㌔にまで広がったほか、翌日以降も同程度の風に見舞われる中で飛び火を伴いつつ林野の地表火を中心に延焼が続いた。
 延焼面積は最終的に約3370㌶に達し、昭和39年以降では最大となった。
 この大規模林野火災の教訓を踏まえ、昨年4~8月にかけて開催された消防庁と林野庁による「大船渡市林野火災を踏まえた消防防災対策のあり方に関する検討会」で林野火災警報・注意報のあり方が議論され、報告書では創設や的確な発令の提言を取りまとめた。
 林野火災警報・注意報は1月1日に施行され、過去の降水量や乾燥、強風の注意報発令に連動して発令。2月は警報が7日、注意報が22日に出るなど、消防機関が対応に追われる日が続いたが、管内で林野火災は発生せず、罰則対象の事案もなかった。
 今月に入り、警報、注意報とも発令基準に達しない状況が続いている。しかし、一昨年5月26日には三陸町越喜来の首崎の市有林で林野火災が発生。大船渡消防署と市内全域の消防団が出動する大規模な消火作業に迫られ、鎮火までに1週間以上を要したのは記憶に新しい。
 大槌町で4月22日に発生した林野火災では、1633㌶を焼損。その後も三陸沿岸では火災が相次ぎ、防火意識の徹底が求められている。
 火災警報と林野火災警報、林野火災注意報の発令指標などは別掲。