被災木材活用で補助金 市が助成、市内建築には最大100万円 民間でマッチング組織立ち上げの動きも

▲ 激甚災害指定に伴う森林災害復旧事業の先行展開現場で切り出された木材。建材用としても出荷された(昨年11月、三陸町綾里)

 大船渡市大規模林野火災で被災した森林から生産される木材の利用促進に向け、市は新たな助成事業を創設した。被災木材を使用した建築工事費用に対し、1立方㍍当たり2万5000円で最大100万円を補助する。本年度は激甚災害指定に伴う森林災害復旧事業現場での素材生産が本格化し、被災木材活用のマッチングなどを目的とした新たな組織が民間事業体を中心に立ち上がる見込み。供給の円滑化や需要喚起が求められる中、助成が利活用の後押しになるか注目される。(佐藤 壮)

 

 補助対象は、建築工事を行う施主の個人、法人、団体など。申請する個人の居住地、法人所在地は問わない。
 新築の助成条件は、被災木材を5立方㍍以上使用する場合。増改築や改修、改良は1立方㍍以上の使用が条件となる。一般的に、木造軸組住宅における1戸当たりの平均木材使用量は20立方㍍余りとされる。
 住宅や事務所だけでなく、大規模林野火災で被災した漁業者の作業小屋、倉庫再建時の活用も見込む。また、市が実施する空き家工事改修補助金との併用も可能とする。市は本年度予算で、400万円を確保した。
 補助額は使用量1立方㍍につき2万5000円。1申請当たりの上限は、建築物の所在地が市内の場合は100万円で、市外の場合は50万円。
 交付認定申請書の提出は随時受け付けるが、工事着手の14日前までに行うこと。補助金交付申請は工事完了から1年以内とする。
 認定申請では▽事業計画書▽被災木材使用部分や使用量が確認できる平面図、立面図、位置図▽県産材産地証明書など、被災木材であることを示す書類──を添付。市役所3階の林野火災対策局で受け付ける。被災木材を証明する書類は、伐採届や原木納入届なども想定し、森林災害復旧事業地以外の被災地から生産された木材も対象とする。  
 今年3月に策定した森林再生計画では、森林再生に関する基本的な事項に▽被害が大きい人工林については、森林災害復旧事業を最大限に活用して被災木の伐採や植栽等を優先的に進める▽私有林の再生に当たっては、伐採、造林はもとより、造林後の下刈り等の保育作業まで、森林所有者の経済的な負担軽減を図る▽被災木の供給円滑化および需要喚起に意欲的に取り組む──などを掲げる。
 市は令和7年度、激甚災害指定に伴う森林災害復旧事業の先行展開現場として、綾里の市有林で被災木の伐採作業を進めた。木材は、建材用として合板製造工場や製材所に、燃料用として木質バイオマス発電工場にそれぞれ出荷された実績がある。
 有効活用できる被災木材量の試算は難しい状況ながら、本年度は私有林でも着手が見込まれ、相当量の搬出が予想される。建材などでの活用は、燃料用途よりも付加価値が高く所有者の山林管理負担の軽減にもつながるだけに、積極的な動きが求められている。
 今後は、被災木材を使いたい希望に応え、スムーズに供給する体制づくりも重要となる。こうした中、地元内外の森林組合や民間事業体による「チーム森林再生大船渡」が近く正式に立ち上がる見込み。被災木材を取り扱う事業体を紹介するといったマッチングを取り組みの一つに掲げており、今後の活動展開の行方が注目される。
 林野火災対策局の大和田智次長は「大規模林野火災の復旧・復興に向けては、森林再生と被災木の活用がセットになっている。この補助制度も生かすなどして、被災木を積極的に活用してほしい」と話している。