災害弱者の共助いかに 避難要支援者205人 4月時点 市が名簿更新
令和8年5月15日付 1面
個別計画作成3割にとどまる
陸前高田市は、災害時に自力で避難するのが困難な人の個人情報をまとめた「避難行動要支援者名簿」の更新作業を進めている。登録済みの人に変更点がないか確かめたほか、登録の案内文書を市内全戸に配布した。登録者数は4月1日現在、前年同日比17人増の205人で、今後、更新版の名簿を支援関係者に提供する。一方で、登録者の次のステップとなる「個別避難計画」の作成率は約3割にとどまり、進ちょくが課題だ。市は関係機関と連携しながら、実効性のある計画の作成に努めることとしている。(高橋 信)
名簿は東日本大震災時、避難が遅れたため、津波の犠牲となる災害弱者が多かった課題を踏まえ、平成25年の法改正で市町村による作成が義務づけられた。
市は26年、名簿登録など要支援者に対する支援制度を創設。名簿の記載内容は、名前や性別、住所、連絡先といった基本的な情報に加え▽傷病履歴▽服用薬▽かかりつけ医療機関▽避難生活で特に配慮が必要な事項──など。昨年4月1日時点で、188人が登録していた。
名簿の情報変更は、本人などから連絡があればその都度反映させてきた。しかし、登録時のまま変わっていないものが多いことから、市は昨年度、本格的な更新作業に乗り出した。昨年10月にすべての登録者に情報を印字した文書を郵送し、変更点がないか確認した。
今年2月には、未登録の対象者に向けた案内文書を市内全戸に配布。更新作業が完了すれば6、7月ごろにも民生委員・児童委員や社会福祉協議会、警察・消防に提供する。
個別避難計画は、災害時に要支援者が「誰と、どこへ、どのように」避難するのかを個人ごとに計画し、本人、行政、地域などで共有するもの。令和3年、市町村による計画の作成が努力義務化された。
作成済みの人は4月1日時点で66人となっており、要支援者名簿登録者に占める割合は32・2%。昨年度、更新作業に先立ち、名簿登録申込書に避難支援者、避難手順、避難場所の記入欄を新たに追加し、すべて記入すれば、名簿登録と計画作成が同時に済むよう簡素化したが、避難計画に必要な欄を未記入にして申し込む人が多かった。
結果、作成者は昨年4月1日から3人しか増えておらず、容易に進まない課題が浮き彫りとなった。市担当課によると、最大の要因は「支援者の確保」で、災害時に個別支援が求められる責任の重さから個人名の明記を敬遠する傾向などが考えられるという。
高齢化を背景に増え続ける「要支援者」と、人材が限られる「支援者」のマッチングという困難な人的課題解消に向け、市は民生委員や市社協などと連携しながら、避難が困難な人から優先順位をつけて作成を目指す。ただし、有事の際に役立つ計画の実効性を重視するため、慎重に作成を進めていく方針だ。
市福祉課の畠山幸也課長補佐は「計画の未作成者一人一人が、家族構成や地域住民との関わりなど事情は異なり、効率よく進めるのが難しい課題。計画を作ることで、高齢者や障害のある人のより安全・安心につながるよう、実効性のあるものを目指して地道に進めていきたい」と見据える。
市は避難行動要支援者名簿の情報変更などの連絡を随時受け付ける。問い合わせは同課福祉係(℡54・2111内線211)へ。





