語り部活動 今月末で終了へ 大船渡津波伝承会 利用者の減少など理由に 予約受け付けと資料展示は28日まで

▲ 今月末で語り部活動を終える大船渡津波伝承会

 大船渡市の大船渡津波伝承会(齊藤賢治代表)は、今月末をもって東日本大震災や防災に関する語り部活動を終了する。齊藤代表(78)は、平成23年秋に個人で語り部活動を始めてから約15年にわたり、震災の経験、避難をはじめとした命を守る大切さを伝えてきたが、利用者の減少などを理由に幕を下ろすことを決めた。語り部の予約受け付けと、大船渡町のおおふなぽーと2階で実施中の資料展示は28日(木)までを予定しており、多くの利用を呼びかけている。(三浦佳恵)

 

 大船渡市のさいとう製菓㈱で専務を務めていた齊藤代表は、平成23年3月11日に巨大地震が発生した時、大船渡町内の本社屋にいた。持っていたカメラで地震、津波の様子を撮影し、同23年の秋にはこうした記録をもとに個人での語り部活動を始めた。
 24年に一般社団法人を立ち上げ、25年3月11日には赤崎町のさいとう製菓中井工場(現・かもめの郷お菓子ファクトリー)内に「大船渡津波伝承館」を仮オープン。齊藤代表は館長を務めた。
 同館は、「あなたに助かってほしいから」というポリシーのもと、「地震だ! 津波だ! さぁ逃げろ!!」をコンセプトに掲げて大津波の脅威と経験、命を守る大切さを後世に伝える活動を進めた。市内外から多くの協力も受けながら、写真や映像等の資料展示、全国各地での講演会、防災学習、イベントなどを展開した。
 一方で、活動拠点となる恒久的な施設の確保に苦慮。30年6月には大船渡町のおおふなぽーとに拠点を移したものの、公共施設のため活動には制約が生じた。
 令和の時代を迎えると、新型コロナウイルスの影響を受けた。活動が不定期にならざるを得ない状況なども踏まえ、令和5年4月には一般社団法人から任意団体に移行し、名称を現在の大船渡津波伝承会に変更した。
 一方で、利用者が減少を続ける中、自身の年齢も踏まえて今後を検討した齊藤代表は「私たちの役目は終えてもいい」と判断。今月末での活動終了を決めた。
 個人で始めてからおよそ14年半、4万を超える人々に震災の事実や教訓、避難の重要性などを伝えてきた。活動を振り返り、「話すのは下手な方だが、多くの犠牲者の中には、逃げなかったために命を落とした人がいたと知り、避難の大切さを伝えなければと続けてきた。そういう思いを起こさせてくれたのは、幼少期から津波や避難の大切さを教えてくれた父と母の防災教育のおかげ」と齊藤代表は語る。
 現在、おおふなぽーとの展示室には、市内外の協力者から提供されたものも含む貴重な写真や映像資料などが並ぶ。活動終了を前に、これらの引き取り手も見つけられたという。「金銭面や映像、写真など、多くの方々に支えられた。こうした貴重な資料がなければ、伝承館はなかった」と話し、多くの協力、支援にも深く感謝している。
 活動終了に伴い、津波映像や震災体験に関する解説(有料)の予約は、28日までの受け付けとなる。なお、会場(おおふなぽーと)に空きがなければ応じられない場合もある。申し込みはホームページ(https://www.ofunato-tsunami-museum.org/)から受け付ける。資料展示の入場は無料。