〝次の住まい〟心境変化も意識 寄り添い続ける相談員 大規模林野火災 建設型仮設住宅入居から1年

▲ 旧綾里中グラウンドの仮設住宅敷地内に設けられた談話室。定期的にサロンが開かれ、住民が集う

 大船渡市大規模林野火災で住宅を失った被災者向けに整備された建設型の木造仮設住宅への入居が始まってから、今月で1年を迎えた。木造仮設住宅は旧綾里中学校と旧蛸ノ浦小学校の各グラウンドに計33戸が整備され、昨年秋に敷地内に設けられた談話室では、定期的に被災者生活支援・地域支え合いセンターの生活支援相談員がサロンを開き、住民を迎える。今後、再建した住まいに移る仮設住宅からの〝卒業〟も予想される中、相談員らはさまざまな思いや悩みに寄り添う意識を高めている。(佐藤 壮)

 

 旧綾里中グラウンドの仮設住宅団地に設けられた談話室で13日、毎週行われている「手芸の会」が開かれた。6人が参加し、各住宅内などで飾ることができるミニタペストリーを制作。これまでもツバキなど季節にちなんだ花をテーマとし、数回かけて完成させる。地域支え合いセンターの相談員が制作方法を紹介し、それぞれが思い思いに手を動かした。
 参加した90代の女性は「手芸は好きだけど、家では家の仕事もあるし、なかなかしない。みんなと一緒で楽しい」と話し、笑顔を見せた。みんなで食べようと「かまもち」を持ち寄る人や、散歩を済ませてから立ち寄る人も見られた。
 何気ない会話の中では、大規模林野火災発生当日の避難も話題に。「本当に着の身着のまま逃げた。全部なくなってしまった」「避難から戻ってきて『こうなってしまうんだ』とあっけに取られて、涙も出なかった」といった声も聞かれた。
 県や市は、避難生活の解消と早期再建に向け、被災した赤崎町外口の16世帯、綾里の46世帯に対し、仮設住宅を提供。建設型は市が県に対して整備を要請し、蛸ノ浦と綾里で建設に着手した。
 いずれも、木造の長屋建て。建設戸数は蛸ノ浦が7戸で、綾里が26戸。間取りは2Kと3Kに加え、家族が多い世帯向けに2Kと2K、3Kと2Kを組み合わせた形も確保した。
 蛸ノ浦では昨年5月17日から、綾里では同24日から入居がスタート。入居は蛸ノ浦が7世帯、綾里が19世帯で、今月に入っても変化はない。 
 被災者の見守り・相談支援事業は昨年6月から本格化。市が市社会福祉協議会(刈谷忠会長)に委託し、三陸町綾里の綾姫ホール内に「被災者生活支援・地域支え合いセンター」の事務所を開設した。
 建設型の応急仮設住宅やみなし仮設入居者に加え、一部損壊などの被害を受けた90世帯程度を対象に訪問活動を行い、孤立防止や相談に当たってきた。現在、同センターの相談員は4人体制。昨年9月に談話室が完成して以降は、サロン開設も担う。開設に先立ち、相談員が建設型の仮設住宅各地を回り、住民らに声をかける。
 外口地域のみの住民が利用する蛸ノ浦とは異なり、綾里の仮設住宅にはさまざまな地域から入居。談話室が設けられたことで、火災前の在住地域の枠を超えた交流が広がったという。
 災害救助法に基づく仮設住宅入居は、原則2年間となっている。岩渕淳子相談員は「活動の最初は、主に健康面に気を配っていたが、最近は住宅再建が決まって『そろそろ出る』という方もいれば、そうではない方もいる。そういった状況も気になるようになってきた。話の流れで住宅再建のことも出てくることもある」と話す。
 今まで住んでいた場所での再建、他地区での新築、公営住宅への入居など将来のあり方はさまざまで、その時期は異なる。一方で「原則2年間」という時間的な縛りに、今後の生活に不安の声も聞かれる。
 市社協などでは、東日本大震災に伴い整備された仮設住宅団地でも、周囲で退去が進むことによる〝取り残され感〟へのケアを重視。話題の内容によって、相談先の紹介なども行ってきた。今後も、気軽に話し、過ごせる時間をつくりながら寄り添い続けることにしている。