「色彩や絵が持つ力を感じた」──震災直後の思い胸に再訪 海外でも活動する画家・ミヤザキさん 東北初の個展開催に合わせ
令和8年5月22日付 7面
東日本大震災発生直後にボランティアで気仙に入り、現在は海外でも活動する画家・ミヤザキケンスケさん(47)が20日、東北では初となる宮城県仙台市での個展開催に合わせ、9年ぶりに大船渡市を訪れた。市内のプレハブ仮設店舗に色鮮やかなイラストを描き、色彩や絵画が持つ力を実感した思い出を振り返りながら、交流の継続を誓った。(佐藤 壮)

「ニュー清水」の仮設店舗にペイントを施し、その後も手直しで何度も来訪(平成27年)
ミヤザキさんが訪れたのは、大船渡町の理容室ニュー清水(清水康雄店主)。窓越しに大船渡湾を一望できる店内で、震災直後に訪れていた当時の写真などに目を通しながら、スタッフらと笑顔を交わした。
ミヤザキさんは平成23年3月11日の震災発生後、東北各地で壁画プロジェクトを始め、同年4月下旬から仮設店舗で営業を再開した清水店主らと知り合った。その後も交流を重ね、同年8月に「ハンド・イン・ハンド」をテーマに、店舗外壁などに絵を描いた。
空を飛ぶフェニックスから贈られたプレゼントを、地上の人々が手で渡し合い、笑顔にあふれる世界を表現した。がれきや被災建物の撤去が行われていた中での思い出は、今も制作活動の支えになっている。
ミヤザキさんは「あの時、外にはなんの色もなかった。そんな世界に明るい色が生まれることで、人が寄ってくる。色彩や絵に力があることを、すごく感じた」と振り返る。絵を描く意味を見いだせない時期もあったというが、「世の中に必要」と信じ切れるようになった。
現在は世界各国で壁画を残す活動「Over the Wall」を主宰する。描く壁は、貧困や紛争など困難を抱える地域が多い。「大変な状況の場所に『明るい絵があればいいじゃないか』という場所を選んできた。今は大変な所だけでなく『世界は太陽でつながっている』ということをテーマに描いている」と話す。
大船渡を訪れたのは、ニュー清水の仮設店舗での営業が終了し、現在の本設店舗に移った平成29年以来9年ぶり。理容店の役割を終えた色彩豊かな施設は、三陸町越喜来の震災伝承施設「潮目」に移された。
今年、東北で初となる個展の開催に向け、知人に案内状を送るためにペンをとった。思い出がよみがえり、直接会いたくなった。個展初日の20日、無事に開幕したあとに三陸沿岸道を北上し、大船渡や宮古の知人を訪ねた。
「一度描いた場所は、そこからつながりが始まる」とミヤザキさんは話す。「また、必ず来ます」と、15年前と変わらない笑顔で誓う。
仙台三越本館7階アートギャラリーで始まったミヤザキさんの作品展「─たいようがみた話─」は、これまで訪れた世界各国の昔話を絵本として出版するために描き下ろした新作約50点を展示。作品の販売希望にも応じる。展示は26日(火)までで、ミヤザキさんは22~24日(日)は会場に姿を見せるという。






