漁村集落の検討も開始 津波避難計画の有識者会議

▲ 漁村集落のシミュレーションなどを検討した第9回会合

 陸前高田市津波避難計画策定アドバイザリー会議(委員長・牛山素行静岡大防災総合センター教授、委員5人)は27日、高田町の市消防防災センターで開かれた。会合は9回目。3月にまとめた高田松原エリアにおける津波避難の第1次経過報告書に関する課題解消策などについて検討したほか、今回から市内漁村集落の津波シミュレーションにも取りかかった。
 全委員が出席。▽第1次経過報告書の課題▽高田松原エリアの追加シミュレーション▽漁村集落のシミュレーション──の三つを協議した。
 漁村集落のシミュレーションは、約100世帯が居住する市内の1地域で行う。地元の自治組織が実施した居住者情報や避難手段に関するアンケート調査結果を参考に、一次的なシミュレーションを行った。「建物倒壊が発生しない」「避難者が道路を逆走しない」など好条件の計算から始めるため、今後は算出結果が実態と合致しているか、地元住民にも確認してもらいながら設定条件を検討し、精度を高めていく。
 第1次経過報告書は、土地勘のない観光客らが集う高田松原エリアの避難シミュレーション結果を暫定的にまとめたもの。3月に佐々木拓市長に提出した。
 報告書では、車避難を可能とする前提のハード・ソフト対策を示しており、同日の会合ではこれらの対策実施に向けた課題を協議。「費用や関係機関との調整が必要なため、課題解消のハードルが高い」とし、今後は対策が実現しない場合の避難シミュレーションも検討していく。
 市は令和5年7月、県の最大クラスの津波浸水・被害想定公表を受け、津波避難計画を策定しようと、アドバイザリー会議を設置。牛山委員長や、東京大生産技術研究所の加藤孝明教授、同大大学院情報学環の関谷直也教授をはじめ、災害情報学や防災まちづくりなどにおける国内トップレベルの研究者らで組織する。
 加藤教授は「市内すべての集落でデータを取り、シミュレーションをするというのは不可能であり、今回のモデル地区の検討を通じて共通点みたいなものが見えてくれば、各集落にも横展開できるのかなと考えている」と見据える。
 委員も務める市防災局の中村吉雄局長は「市民が居住する地域の避難計画の作成は、絵に描いた餅にならないように、地域が主体となり、市とともに一緒につくるというスタンスで進めたい。そのための参考となる知見を今回始めたシミュレーションで得られればと思う」と語った。