私有林の実施手順示す 市大規模林野火災の森林災害復旧事業 まず合足、打越・小路の2区域で着手

▲ 3月以来の開催となった林地再生対策協議会

 

 大船渡市大規模林野火災に伴う林地再生対策協議会(委員7人、会長・松川伸一市林野火災対策局長)は28日、市役所で開かれ、市側が私有林における森林災害復旧事業の実施手順を示した。事業実施区域を選定し、境界確認や事業実施に関する協定締結、森林経営計画作成を経て、発注する方針。すでに赤崎町の合足と、三陸町綾里の打越・小路の2区域を選定。合足に関しては今月、境界確認の説明会を開催し、8月中には発注まで進めたい考えも明らかにした。対象区域が広大に及ぶ中、2事業区域の経験やノウハウを生かし、円滑な発注を目指す。(佐藤 壮)

 

 協議会は3月以来の開催。冒頭、松川会長は「関係機関が連携を密にし、着実に再生に取り組み、各種事業の具現化を図る必要がある」とあいさつ。協議は非公開で行われた。
 市側が資料で示した私有林における森林災害復旧事業の実施手順は別掲。同事業は境界確認や協定締結といった手続きが必要となり、基本的な流れを明確にすることで関係者間の認識共有を図る狙いがある。
 同事業は被災木の伐採・搬出、跡地造林などを行うもの。現段階で被災木の伐採・搬出が1248・7㌶、跡地造林が1279・2㌶で、期間は令和10年度まで。その後の下刈りも含め、森林所有者の負担はない。森林保険加入費用は、所有者の負担となる。作業路開設も含め、事業費は117億5772万円を見込む。
 実施手順のうち、事業実施区域の選定は、1区域当たり20㌶以内をめどとする。土砂流出をはじめとした二次災害予防に向け、県のガイドラインにある伐採の留意事項などを参考にした。同日現在、合足の約12㌶と、打越・小路の20㌶程度の私有林を選定した。
 両区域は、被災区域として地理的にまとまりがある。被害判定で樹冠部まで焼損が及ぶ「激」が多い状況も考慮したという。
 次に選定する区域の見通しに関して、市は明らかにしなかった。協議会後、林野火災対策局の大和田智次長は「『次はこの地域に入る』といった予定は、示すことができない状況」と述べ、本年度の区域設定数の目標も明言を避けた。
 多くの所有者に対しては、森林再生に向けた伐採などについて「いつ、どこから」を具体的に示すことができない状況が続く。松川会長は「20㌶程度のまとまりの設定に加え、作業のしやすさなど現場環境もよく確認をする必要がある」と語り、理解を求める。
 合足では今月22日、リストアップが完了した森林所有者や隣接の森林所有者らを対象に説明会を開催。来月から境界確認に入り、協定締結や森林経営計画作成を経て、伐採などに向けた発注となる。市は、8月には発注に入りたい考えを示した。
 市によると、今回示した事業区域のうち、合足は土地所有者や隣接者が比較的少なく、打越・小路は多いという。それぞれの手続きに要する期間などを踏まえ、他区域の具体的なスケジュール設定などに生かすことにしている。
 今後の事業区域選定は、二次災害防止などの観点から、区域間の距離を一定程度離したうえで着手したい考えも示した。市は、境界確認作業の積み上げを図ることで標準的な作業時間や年間発注見込みなどを試算し、計画的な事業発注につなげる方針も掲げる。
 昨年の意向調査で、森林災害復旧事業を「希望しない」と回答した所有者や、未回答の所有者にも本年度、再度調査を行う。森林再生に関する市の支援策を示し、周知・検討期間も確保したうえで、今年秋ごろに調査に入る考えを示す。