「知らない世代」に学び提供 県内外から修学旅行、校外学習で来館 東日本大震災津波伝承館 学校利用のピーク迎える

▲ 修学旅行などによる学校利用がピークを迎えている東日本大震災津波伝承館

 陸前高田市の東日本大震災津波伝承館は5月から6月にかけ、修学旅行や校外学習による学校利用のピークを迎えている。震災発生から15年がたち、令和8年度には中学生以下の児童・生徒全員が震災後生まれに。こうした震災を知らない世代が当時の様子や防災の知識を学ぶ必要性が一層高まる中、同館では分かりやすい展示や解説員の案内などを通じ、震災・防災を学ぶ場を提供していく。(三浦佳恵)

 

 令和元年9月に開館し、国内外から見学者が訪れる同館。オープンからの累計来館者数は、今年4月30日現在で140万8150人に上る。
 例年、5月から6月にかけてと10月は、修学旅行や校外学習として学校の利用が多くなる。同館がある高田松原津波復興祈念公園の駐車場には複数の大型バスが停車し、県内外の小・中学校、高校が見学に訪れている。
 今月27日の午前中には、神奈川県の横須賀市立池上中学校(吉野哲生校長、生徒286人)の3年生101人が26日から2泊3日の修学旅行で来館。3グループに分かれ、それぞれ同館解説員による説明を受けながら、45分コースで館内を巡った。
 生徒たちは熱心にメモもとりながら、震災による県内の被害、津波の様子、避難行動の重要性、復興の歩みなどを学習。生徒の一人は、「震災当時は生まれる前で、ここで初めて津波の映像を見て、言葉にならなかった。災害時に命を守る行動を学んでいても、実際に遭ったら動けなくなることもある。そうならないために何が大切かを考える機会になった」と話し、震災を自分ごととして捉えていた。
 同校では1年次から防災学習に取り組んでおり、3年生は震災被災地からじかに学びを得ようと、陸前高田市を訪問。生徒らは同館に加え、奇跡の一本松など同公園内の震災遺構も間近にし、最終日には2年次にオンラインなどで交流した同市民らから直接、復興や地域づくりにかける思いなどを聞いた。
 吉野校長は「伝承館を見学し、どれほど震災が重大なものだったか、万が一災害が発生した際にどんな行動をとるかを感じてほしい」と語った。
 同館によると、7年度の学校利用は小・中学校、高校、大学などの計252校で、約1万3000人が訪れた。学校数、人数とも前年度を下回ったものの、リピート利用の学校も多いという。
 学校の利用促進に向け、同館では県内の校長会などでPRを展開。県外向けには、県主催の教育旅行説明会への出席、市内の伝承・観光施設などと一丸となった誘致活動に取り組んでいる。
 同館の山本卓美副館長は「県内で唯一、県内全域の震災状況を学べる施設であり、震災を知らない世代が増える中で、その存在意義はますます大きくなっている。震災の事実と教訓を伝える役割があるので、より注力をしていきたい」と話している。