市、6月に愛知県の桜花学園大、名古屋短期大と協定 市内で学生向け保育実習計画 人材確保に期待 通信教育課程(9年度設置)に市民枠

▲ 記者懇談会で「協定締結はわれわれが目指す子育て支援策にも極めて合致する」と語る佐々木市長

 陸前高田市は6月8日(月)、愛知県豊明市の桜花学園大学、名古屋短期大学と連携協力協定を結ぶ。本年度は、保育職を志望する両大の学生が陸前高田市内で保育実習に臨むプログラムを試験的に行い、来年度から本格展開する見込み。名古屋短期大が来年度の設置を構想する「保育科通信教育課程(仮称)」には陸前高田市民の入学枠が設けられ、保育士の資格取得を目指す人が自宅などで通信教育を受けられるようになる。子育て支援の一環で保育料無償化を検討している市は、保育士確保の課題を抱えているが、事業が協定締結を機に動き出すことで、人材確保にもつながりそうだ。(高橋 信)

 

 協定締結式は市役所で行われ、両大の大谷岳学長や佐々木拓市長らが出席する予定。有効期間は来年3月末までで、それ以降は申し出がなければ1年ごとに更新される。
 市によると、市出身の大学関係者から3月に連携の提案があり、両者で協定締結に向けた協議を進めてきた。
 連携協力の柱は▽大学の保育実習、研究者の受け入れ▽短期大学通信教育課程の受け入れなど、保育人材の安定的な確保▽保育や教育の質向上への研究・研修の協力▽人材育成▽学生の地域活動への参加──。
 保育実習は本年度、試験的に行う。学生5人程度の受け入れを想定し、市内の保育施設で学ぶ。期間は約2週間で、市と両大は滞在中の住居などを検討していく。受け入れ態勢が整えば、9年度から本格的に実施する。大学側は東日本大震災の教訓を有する市の特性を生かし、防災・減災も学べる保育実習プログラムを構想している。
 通信教育課程は9年度、全国の学生がオンラインなどで学び、保育士の資格を取得できるよう始める。同課程には市の推薦を受けた市民の入学枠が設けられ、実習も市内保育施設で行えることから、地元を離れずにそのまま就職できる。
 市は9年度からの保育料完全無償化を検討しているが、無償化を阻む大きな課題として保育士の必要数確保が残っている。
 本年度は人材の確保・定着を見据え、市内の保育園で働く保育士の奨学金返還費用を支援する補助制度を新設。保育所などを利用せず、3歳未満児を在宅で育児している保護者に児童1人当たり月額2万円の支援金を配る給付事業も始めた。
 実施可能な事業を打ち出す一方で、人材を着実に確保できるか先行きが不透明だった中、桜花学園大、名古屋短期大から〝渡りに船〟のような提案を受けた。保育実習場所確保など大学側のニーズとも合致したため、官学の連携がスムーズに形となった。
 佐々木市長は27日に市役所で開かれた記者懇談会で、両大との協定締結について言及。「今回の協定は、保育士の安定的な確保や、保育士になりたいと思っている市民が学びの機会を得ることとなり、われわれが目指している子育て支援策にも合致した取り組みだ」と述べた。