心身ケア本年度も注力 大規模林野火災 時間の経過とともに不調の表れも 

▲ 大規模林野火災の影響を大きく受けた綾里地区。本年度も仮設住宅、公営住宅で暮らす被災者だけでなく、地域住民の心身ケアに力を入れる

見守り・相談の連携強化図る 〝要対応〟住民らの訪問継続

 

 大船渡市は、昨年2月の大規模林野火災に伴い実施した保健活動の実績をまとめた。避難所開設直後から仮設住宅への入居など、段階に応じて被災者や避難者の実情に合わせた活動を展開。三陸町綾里と赤崎町の各一部地域向けに実施した被災者健康状態調査では、要対応者に加え、うつやPTSD(心的外傷後ストレス症)の各該当者も把握した。月日が経過する中で心身に不調が出るケースも考えられ、市では関係機関と連携をとりながら、本年度も訪問活動を継続する。(佐藤 壮)

 

 市地域防災計画では、健康管理活動班の業務を定めており、被災者の健康相談や健康調査、保健指導、栄養・食生活支援活動、心のケアにあたったり、避難所や車中で過ごす避難者への健康教育などを担う。同班は、市保健福祉部の地域福祉課やこども家庭センター、地域包括ケア推進室、健康推進課に所属する保健師や看護師、栄養士で構成する。
 大規模林野火災では、発災当日の2月26日から5月末までの約3カ月間にわたり避難所が開設され、福祉避難所4カ所を含む12カ所で受け入れた。12カ所を合わせた最大避難者数は1249人。親戚・知人宅をはじめ避難所以外の住宅などにも3061人が身を寄せた。
 目まぐるしく状況が変化する中、保健活動は災害対応の段階に合わせて実施。福祉避難所を利用する住民の調整や、指定避難所以外で過ごす避難者、車中泊者らへの訪問・巡回などを行い、県から派遣された保健師や保健、医療、福祉といった各関係機関とも連携した。
 鎮火宣言が出された4月上旬からは、栄養・食生活支援活動を展開。市管理栄養士が献立を作成し、食生活改善推進員と連携して、火災で住居を失った被災者が利用する避難所で、主食、主菜、副菜のそろった温かい食事を提供。缶詰などの支援物資を活用した。
 さらに、延焼が及んだ地域住民の心身のケアにも注力。昨年3~5月には、三陸町綾里と赤崎町の住居が被災した地域の667人を対象に、健康状態調査を実施。市職員だけでなく、他自治体などからの派遣を受けた職員も動員しながら健康状態の把握に努めた。
 市職員が実際に訪問するなどして回答を得た537人のうち、生活状況の変化や心身の不調から、「引き続きフォローが必要」と判断したのは139人(25・9%)。また、食欲や睡眠に加え、不安などに伴う心境や体調変化などを尋ねる「スクリーニング調査」で、うつ該当者は77人(14・3%)、PTSD該当者は118人(22%)だった。
 市では昨年9~10月にかけ、2回目の健康調査を実施。1回目と同じ地域の住民に加え、建設型の仮設住宅やみなし仮設住宅などへの入居者計723人も対象とし、郵送などで回答を求めた
 回答した366人のうち、要対応者は86人(23・5%)。うつ該当者は42人(11・5%)、PTSD該当者は53人(14・5%)だった。要対応者や、うつ、PTSDの各該当者数は、いずれも前回から減少したが、2回目の調査で新たに心身の不調を明らかにする回答者も見られたという。
 市では、継続的な対応や見守りが必要と判断した住民らには連絡をとり、状況に応じて関係機関につなぐといった対応をとっている。電話による確認や訪問は、8年度も続ける方針。市が市社会福祉協議会に委託している被災者見守り・相談支援事業も継続する。
 市健康推進課の藤田一枝課長は「新しい環境に移り、落ち着いた時期に不調を感じるケースも考えられる。地域の民生・児童委員と連携しながら活動するとともに、各地区で開催する健康教室などで職員が出向いた際にも気にかけていきたい」と話す。
 7年度、市は火災発生日などの節目に記憶がよみがえり、心身に不調をきたす「記念日反応」へのケアも重視。発災から半年、1年のタイミングに合わせて周知・啓発活動を行った。
 今後は、避難指示対象地域以外の住民が不調をきたすケースも考えられるという。市地域福祉課などでは、「悲しい気持ちになる」といった反応が長く続く場合などに相談を寄せるよう呼びかけている。