復興へ心一つ 地元に活気 天照御祖神社・市杵嶋神社 綾里の繁栄願う式年大祭(動画、別写真あり)
令和8年6月7日付 1面
大船渡市三陸町綾里に鎮座する天照御祖神社(熊谷典昭宮司)と市杵嶋神社(中島美貴子宮司)の式年大祭は6日、綾里地区内で挙行された。過去に東日本大震災や新型コロナウイルスで開催への影響が及んだほか、昨年の大規模林野火災では全域に避難指示が出され、両神社の周辺まで火の手が迫った。同日は、いまだ火災の爪痕が残る復興途上の地区内を、両神社の神輿が練り歩き、綾里漁港内では神輿の海上渡御を初めて実施。余興奉納の場では住民による舞が繰り広げられるなど、復興に向けて心を一つにし、地域に活気を呼び込んだ。(栗村勇翼)

天照御祖、市杵嶋両神社の神輿が地区内を練り歩き、活気を呼んだ
綾里の式年大祭は5年に1回の開催で、例祭日は旧暦の3月16日だが、ワカメ作業など漁業繁忙期と重なるために開催時期を繰り下げて行うのが慣例となっている。震災後の平成23年は規模を縮小し、28年に震災前の形で復活。前回は、令和3年に予定していたがコロナ禍で延期して5年に行うなど、開催が危ぶまれる状況もあった中で住民らが力を合わせて継続してきた。
同日は曇り空が広がり、風雨も心配されたが、両神社の神輿の海上渡御をはじめ、行列などの行程が予定通り進行。御旅所の綾里小グラウンドでは、地区内の田浜、宮野、白浜、港、石浜・小路、野形、岩崎、野々前の各地域が権現様などを奉納し、他地域の住民も、行列や祭典準備・運営を支えた。
5年の大祭後に修繕作業が行われた天照御祖神社の神輿は、昨年2月19日に田浜下地内で林野火災が発生した際、神社が鎮座する田浜地域に避難指示が出されたことで別所に〝避難〟。その後の大規模林野火災の鎮火を待って、もとの保管場所へと戻された。
一方、市杵嶋神社の神輿は平成28年に修復。社殿も火災の被害を免れ、昨年に改修工事が完了した。
大祭が始まり、住民らの前に姿を見せた二つの神輿は、それぞれ漁船に運び込まれ、田浜荷さばき所岸壁を出て港内を回った。船上で権現様が、船の着岸場所となる石浜岸壁では手踊りが繰り広げられ、会場に笑顔が広がった。
続いて、御旅所の綾里小を目指して行列が地区内を進んだ。神輿が左右に激しく揺れる勇壮な姿に引かれ、住民らが沿道に集まり、神輿を中心ににぎわいが生まれた。
綾里小グラウンドでは、神事に続いて、住民らが余興を奉納。
過去には地域ごとに余興が奉納されていた大祭だが、今回の余興奉納は、仮設住宅などへの転居で住民数が減るといった火災の影響もあり、手踊りは地域合同で実施された。それでも、各地域の住民らは伝統の舞で動きや声をそろえ、来場者らを魅了した。
10棟を超える住家が被災した田浜地域も余興奉納に臨んで権現舞と手踊りを披露した。古川翔太さん(30)は「権現舞は、今年から本格的に取り組んできた。昨年も開催した綾里夏祭りとともに、地域の人が集まれる機会がこれからも続いていってほしい」と願った。
天照御祖神社の入澤隆夫実行委員長は「若い世代が一生懸命やってくれた。火災では神社も危なかったが、立派な状態で残ってくれて神様のお力を強く感じ
た。おかげで祭りも楽しいものとなった」と、市杵嶋神社の和田豊太郎実行委員長は「雨風が心配だったが、海上渡御もしっかり行うことができた。船が多くなると移動も大変だが、うまくチームワークを発揮して事故なく終えてもらった。祭りを通して心を一つにできたのではないか」と、それぞれ話していた。






