暮らし息づく景観復旧 下有住の「松日橋」 地元住民らが協力して作業(別写真あり)
令和8年6月9日付 7面
住田町下有住高瀬地内の気仙川流域で6日、流れ橋の「松日橋」の復旧作業が行われた。同橋受益者組合(高橋靖組合長)のメンバーら地元住民が協力し、人々の暮らしが息づく昔ながらの景観をよみがえらせた。(阿部仁志)
松日橋は川を挟み、下有住の中山、松日両地域をつなぐ約40㍍の一本橋。河川増水時にあえて橋板や橋脚が水に流される構造になっており、地域住民で構成する同組合が管理している。同様の木橋はかつては下有住だけで七つあったが、現在は松日橋のみで、住民の手で守られてきた景観が地域に溶け込んでいる。
橋板は幅50㌢、長さ10㍍ほどの杉板4枚。橋脚材には、「叉股」と呼ばれる逆Y字型のクルミの木が使われている。
増水時は、ワイヤロープでつながれた橋板が浮き、橋脚は損傷を受けないよう流れに逆らわない形で倒れる仕組み。設計図はなく、橋脚の角度や高さは、住民らの経験に基づきその場で決められる。
復旧作業は今年2回目。まとまった雨が降った5月のはじめに橋が流れたとみられ、この日の復旧作業には約10人が集まった。
住民らは、川の中に入って橋脚を立てたあと、橋板を設置。ワイヤロープで板をつなぎ、転落防止用の竹材も設置して、元の橋の姿を取り戻した。
作業の音頭をとったのは、長年にわたり松日橋の復旧に携わっている前組合長の金野純一さん(82)。大きな声で指示を飛ばし、勝手知ったる仲間たちと息の合った連携で作業を進めた。
「うまく設置できたと思ったらすぐ流されたり、逆に、いい加減な方が長持ちしたり」──。今回復旧した橋を見て、金野さんが「良くはない」とこぼすと、近くにいたメンバーが「じゃあ大丈夫だ」と笑って返した。長年の付き合いがにじむ軽口に、現場は和やかな空気に包まれた。
金野さんは「松日橋は、中山と松日をつなぐ里道。地域にとって〝絆〟のようなものだから、これからもここに残していきたい」と話していた。






