待望のサーモン初水揚げ 越喜来漁協がニッスイグループ社と共同実施 試験養殖1年目 10㌧を計画
令和8年6月9日付 1面
大船渡市三陸町越喜来の越喜来漁協(舩砥秀市組合長)と㈱ニッスイサーモン(本社・鳥取県境港市、鶴岡比呂志代表取締役社長)は8日、昨年11月から越喜来湾で試験的に海面養殖しているサーモンを初水揚げした。試験1年目の今季はトラウトサーモン1魚種を扱い、計約10㌧の水揚げを見込む。今冬から2年目の試験養殖に入り、同漁協などは来年冬の事業化を目指している。(高橋 信)

市魚市場に出荷されたトラウトサーモン
午前8時ごろから越喜来漁港で、作業員らが水揚げを開始。雨に見舞われた中、岸壁沿いのいけすからたも網ですくわれた重さ平均2・2㌔のトラウトサーモンを生け締めし、氷水をためたコンテナに次々と入れた。
同日の水揚げ量は約6・3㌧。うち約200匹は市魚市場に出荷され、買い受け人が熱心に見定めた。入札の結果、1㌔当たり1350円~1050円で取引された。
渕上清市長も同漁港での水揚げ作業を視察し、市魚市場も訪れた。渕上市長は「きょうの水揚げは大きな一歩だ。当市だけでなく、三陸全体で漁獲量減少などの深刻な課題がある中、安定的で、計画的に生産できることは重要な意味を持つ。この試験養殖事業が前に進むよう大変期待している」と話した。
今季分の残りは、11日に水揚げする予定。2季目はギンザケ1魚種を育てる計画で、11月ごろから育成に入る見通し。
越喜来漁協は、近年の世界的なサーモン需要の高まりや主要魚種の不漁を背景に、試験養殖を検討。地元の養殖組合員への説明、理事会の承認を経て、昨年11月に事業を開始した。
越喜来湾内の旧定置漁場に、直径25㍍の円形海面いけす1基を設置し、稚魚を育成。関連機関と連携しながら、生産性や採算性、周辺環境、既存漁業への影響を調べている。
同漁協は2年間の試験養殖を経て、県から区画漁業権を与えられれば、9年冬にも本格的な事業に移行したい考え。海面いけすを常設できることとなり、活用が課題となっている空き漁場の有効利用にもつながる。
ニッスイサーモンは、水産大手㈱ニッスイ(本社・東京都)のグループ会社で、サーモン養殖事業を手がけている。4月1日付で弓ヶ浜水産㈱から社名を変更し、自社で生産する国産養殖サーモンを「ニッスイサーモン」のブランド名に統一した。
ニッスイサーモン社は令和4年に大槌町で、7年に陸前高田市でサーモン養殖を始めた。
同社は各漁場で段階的な増産を計画し、令和12年時点で国内水揚げ計1万㌧を目指す。このうち、本県は大槌町、陸前高田市に、大船渡市を加えた3漁場で7000㌧を占めることを想定しており、実現すれば中心的な産地となる。
舩砥組合長は「海洋環境の変化などで水産業全体を取り巻く環境が厳しさを増している。主要魚種の不漁に悩まされるが、それらに代わる何かを模索するうえで、このサーモン養殖は期待がかかる。ようやく一歩目を踏み出した段階であり、これからではあるが、越喜来湾で育ったおいしい魚が多くの人に届けばいい」と語った。






