被災木の積極的な利用を 「TEAM森林再生大船渡」の発足記念式 多分野による情報共有・協業の推進へ(別写真あり)
令和8年6月13日付 1面
大船渡市大規模林野火災の被災木を有効利用する取り組みの提案、実行に向けて組織された、民間企業などの有志による「TEAM(チーム)森林再生大船渡」の発足記念式が12日、盛町のカメリアホールで開かれた。森林再生が広大な面積に及び、伐採した木材のスムーズな流通や付加価値を高める取り組みが求められる中、関係者は再造林促進などにつながる積極的な活用や情報共有、協業の充実を誓い合った。(佐藤 壮)

復旧作業が始まった被災森林では、伐採に伴い流通可能な木材が並ぶ=赤崎町
組織の発起人メンバーは、県森林組合連合会と気仙地方森林組合、ノースジャパン素材流通協同組合、北上プライウッド㈱、セイホク㈱、物林㈱の6事業者。発足式には行政関係者に加え、参加を表明している地元内外の事業所関係者を含め約50人が出席した。
代表として県森林組合連合会の中崎和久代表理事会長が「発起人はもちろん、具体的な取り組みを検討した構成員の方々に感謝する。森林資源を次世代につなぐ重要なプロジェクト。同様の被害に遭われた地域のみならず森林林業活性化の一助になることを願っている。情報共有などによる活動の拡大が重要になる」と述べ、積極的な参画を求めた。
来賓の渕上清市長は「未来を見据えて立ち上がったことは、森林再生の大きな弾みになる。今年3月策定の森林再生計画を基本的な方針としながら、皆さんと連携し、被災した森林を未来の子どもたちに引き継ぐため全力で取り組む」と祝辞。県農林水産部の砂子田博林務担当技監は、照井富也部長のメッセージを代読した。
チームの概要説明では、大規模林野火災の延焼面積が広大に及ぶ一方で、被災材の中にも素材として十分利用できるものが多い状況もあることから「被災木は使える」というメッセージを発信していく重要性を確認。伐採による木材供給量の把握、利用方法の提案・実施、流通など、木材生産や加工の「川上・川中・川下」が一体となり、協業を生み出す取り組みや情報共有を推進する流れも示された。
参画する地元事業者からは「道路沿いに設置する木製デリネーター(視線誘導標)に活用できれば」といったアイデアも。「これから、もの(木材)は出てくるし、地元にも加工できる工場がある。どんどん販売して、買ってもらいたい」との声も出た。
決意表明では、副代表を務めるノースジャパン素材流通協同組合の鈴木信哉理事長が「父や母、祖父母が一生懸命植えた木を有効活用しなければいけない。育った木の価値が認められ、使ってもらい、森を復活させて『森は海の恋人』を実現させたい」と力を込めた。
大規模林野火災の早期復旧や森林再生に向けては、被災木の積極的な利用による早期伐採・撤去を進め、持続可能な森林環境づくりにつなげる取り組みが求められている。本年度は私有林でも森林再生事業の伐採着手が見込まれ、現場から出る木材の流通確保も重要性が増す。
会場には「川中」に当たる地元内外の木材加工事業者が手がけた被災木による構造用製材や集成材、羽柄材、板材、くい材、合板などが並んだ。出席者は活発な木材流通による復旧・復興の推進に期待を込めた。
式に先立ち、同日は気仙地方森林組合が赤崎町蛸ノ浦の民有地で実施している被害木整理事業の現場視察も行われた。この現場は水源林造成事業として、所有者と国立行政開発法人森林研究・整備機構森林整備センターと同組合による「三者契約」で管理し、平成4、5年に植栽したスギなどが立ち並んでいた。高さ16~20㍍の木々が並び、林野火災で根元から4~6㍍の状態まで樹皮が焦げるなどの被害を受けた。
すでに伐採が進み、4㍍の長さに切られた丸太が並ぶ。一般的な林業現場と同様に、ベニヤや構造材などとして流通する一般材と、バイオマス発電の燃料材に仕分けし、出荷が始まった。仕分けは曲がりや「とび腐れ」の有無などから判断しており、焼損による区別は少ないという。視察参加者からは「建築用に十分使える」「問題ない」との声が聞かれた。






