定置網の不振など響く 大船渡魚市場㈱ 定時株主総会 3年度以来の損失計上

▲ 令和3年度以来の損失計上などが報告された株主総会

 大船渡魚市場㈱(千葉隆美代表取締役)の第75期(令和7年4月1日~8年3月31日)定時株主総会は13日、大船渡市大船渡町の同市魚市場で開かれた。定置網漁業や火光利用敷網によるマイワシ漁獲の不振により、水揚げ量と金額は昨期を大きく下回り、当期損失229万円と、3年度以来の損失計上となった。(齊藤 拓)

 

 総会には、本人と委任状合わせて89人(株式数割合87・56%)が出席。冒頭、千葉代表取締役は「良い潮の流れがまだ先なのかすぐそこまで来ているのか、分かりかねている状況。中東情勢の不安定化や漁獲量の減少もあるが、漁況の好転を信じて業務に励む」とあいさつした。
 また、市魚市場開設者の渕上清市長は「水産は市の基幹産業。持続的発展のため、現場の声をうかがいながら振興に取り組む」と述べた。
 議事では、75期の水揚げ、経営概況報告、貸借対照表と損益計算書を原案通り承認した。
 報告によると、同期の水揚げ実績は累計数量が1万7504㌧(前年比34・0%減)、金額(税込み)が50億4919万円(同24・7%減)と、ともに大きく減少した。
 実績のうち、定置網漁業は数量で5463㌧(同54・9%減)、金額は15億3349万円(同18・4%減)。昨期から続く急潮の多発による操業日数の大幅な減少や、多獲性魚のサバ、マイワシ、ブリ類の漁獲不振が響き、全体水揚げ量減少の主要因となった。
 サンマは、数量が8437㌧(同49%増)、金額が26億669万円(同6・4%減)。数量は全国3位と順位を一つ落としたが、金額では14年連続で本州1位を維持した。漁期当初は大中サンマの割合が多かったものの、すぐに小型魚へ変化したことで価格は低調となった。
 6年目となった火光利用敷網によるマイワシ漁獲の試験操業は、数量が5・5㌧(同99%減)、金額94万円(同99・7%減)。「皆無に等しい結末」としており、定置網と並んで水揚げ量減少の要因となった。
 カツオは、数量265㌧(同83・7%減)、金額1億1521万円(同81・5%減)と落ち込んだ。
 イカ釣り漁業は不漁で推移したことに加え、全国的には好漁地域があったことから国が定める漁獲可能量を超え、12月下旬には出漁禁止措置がとられた。一方、同社は「次年度は漁獲枠を増やす方向との情報もある」として挽回を期する。
 一方、イサダは数量2334㌧(同86・8%増)、金額2億3301万円(24・5%増)。昭和59年以降初めて期間水揚げ量が1000㌧を下回った令和5年度から、2年続けて実績を伸ばし、回復の兆しをみせた。
 このほか、経費の面では、中東情勢の緊迫化によって燃油や合成樹脂製品の品不足と価格高騰が続いている状況にある。
 これらの結果、経常損失は56万円となり、法人税などを引いた当期損失は229万円。損失を差し引いた次期繰越利益は5991万円となった。
 また、監査役の上野直和氏の退任に伴う役員改選では、取締役の寺澤泰樹氏(吉浜漁協組合長)が取締役を退いて新たに監査役に就く案を承認した。