脱炭素推進へ意向調査 全戸配布で市民アンケート 太陽光発電設備導入など
令和8年6月17日付 1面
陸前高田市は、脱炭素化の取り組み推進に向け、全戸配布のアンケート調査を実施している。市民や市内事業者らを対象に「太陽光発電設備・蓄電池の設置」「電気小売契約の切り替え」の2点で意向を聞き、今後の事業展開に生かしていきたい考え。アンケートのほか、市が行う脱炭素化の主な取り組みや本年度新たに始める事業の概要も掲載しており、市民への理解と周知を図る。ポスト投函による回答は19日(金)を期限としており、協力を呼びかけている。(菅野弘大)
同市は令和6年9月、環境省が定める脱炭素先行地域に選定された。これは、政府が掲げる「2050(令和32)年までに温室効果ガス排出量実質ゼロ」の目標に先駆け、2030(令和12)年までの脱炭素化実現を目指す地域を指し、同市では昨年度から県や民間企業などと連携した脱炭素の取り組みを本格的にスタート。市の地球温暖化対策実行計画や選定された先行地域計画にもとづき、再生可能エネルギー(再エネ)設備等の導入・利活用、住宅太陽光発電設備等導入補助の実施、省エネルギー(省エネ)化を図り、脱炭素を通じた地域の活性化を推進している。
今回のアンケートは、自家消費や防災機能強化の促進などにつながる「太陽光発電設備および蓄電池の設置」と、地産地消の再エネ電気を活用する「電気小売契約の切り替え」について、市民や事業者の意向を調査するもの。これまでにも、太陽光発電設備などに関するニーズ調査としたアンケートは実施してきたが、全戸配布による調査は今回が初めてとなる。
アンケートでは、太陽光発電設備について、自宅への設置の有無や見通し、設置を検討中の場合はその方法などを調査。このほか、地元の電力会社・陸前高田しみんエネルギー㈱への契約切り替え、市からの継続的な情報提供を希望するかについても意向を聞いている。
太陽光発電設備の導入方法については、本年度中に開始を予定する「PPAモデル」も紹介。市民個人や事業者が所有する住宅、事業所の屋根等をPPA事業者に貸すことで、初期費用ゼロで太陽光パネルなどを設置でき、発電した電気の供給を受けられる仕組み。契約期間中は、PPA事業者に利用した電気代を支払う必要があるが、設備のメンテナンスは事業者が行うほか、契約期間終了後は、設備をそのまま譲り受けられる。
市ではこのほかにも、脱炭素化推進に向け、農業と太陽光発電を両立させる「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」や、市内を走行する低速電動バスのグリーンスローモビリティ「モビタ」の運行など、各種事業を展開。個人住宅におけるまき・ペレットストーブ、自家消費型太陽光発電・蓄電池の導入に対する補助金の制度を設け、本年度からは電気自動車(EV)やその充放電設備の導入への補助金(上限各10万円)も新設した。
電気自動車と充放電設備は、災害などで電気がストップしてしまった際、充電した車を蓄電池代わりにして住宅に電力を供給することも可能なことから、有事への備えとしての活用も期待されている。
全国的には、大規模太陽光発電施設(メガソーラー)による環境破壊問題が取りざたされる一方、住宅への設置などは、自然光を有効活用した発電により、電気代の抑制や脱炭素化にもつながることから、市でも事業の周知に力を入れる。
市脱炭素推進室の松木翔室長補佐は「太陽光発電などに関する市民の意向を聞き、今後の事業展開の参考にしたい。関心を持っている方にきちんと情報をお届けできるよう、アンケートの結果を生かすことができれば」と話している。
アンケートは19日の当日消印有効。アンケート用紙のQRコードからアクセスできるウェブフォームからの回答は、21日(日)まで受け付ける。






