避難指示区域見直しで論戦 市議会 2議員が一般質問  当局「適時適切な啓発続ける」

 大船渡市議会6月定例会は18日、通告に基づく一般質問が行われ、市当局による津波注意報、警報発令時の避難指示対象区域の見直しについて2議員が取り上げ、命を守る対策のあり方や浸水想定区域への企業誘致に関して当局と論戦を交わした。当局は見直しの根拠や見直し内容の周知徹底を続ける考えを説明したうえで、「今後も津波防災と適時適切な避難行動に関する啓発を継続し、避難意識の維持・向上に取り組む」との姿勢を示した。(高橋 信)

 

 津波の避難指示対象区域見直しは、佐藤優子議員(光政会)と岡澤駿議員(清陵会)が取り上げた。
 市はこれまで津波注意報、津波警報、大津波警報のいずれも、県が公表した最大クラスの津波浸水想定区域を対象エリアに避難指示を出してきた。
 こうした中、国が3月に改定した避難情報に関するガイドラインや、防潮堤、水門、陸こうなどのハード施設の整備が完了したことなどを踏まえて、津波注意報・警報発表時の避難指示対象エリアを見直し、今月1日に運用を開始。従前は対象エリア内の6000人超に上る住民に一律に避難指示を出していたが、見直しに伴い、警報時では110人余と大幅に減少した。
 佐藤議員は、市民生活や経済活動に大きな影響があったこれまでの避難指示対象区域について、「一定の見直しは必要」と前置きした一方で、「今回の見直しによりこれまで積み重ねてきた津波防災教育、震災伝承、避難意識の醸成が後退することがあってはならない。これまでの意識情勢と今回の見直しとの整合性をどのように図っていくのか」と迫った。
 新沼晶彦総務部長は見直した理由などに触れながら、「強い揺れや、長いゆっくりとした揺れを感じた際には津波情報や避難指示を待つことなく、直ちに高台に避難するか、避難の準備をしてもらうことに変わりはない。避難指示対象区域では速やかに命を守る行動をとってもらう重要性も従来通り」と強調した。
 そのうえで「当市は、これまで幾度となく津波被害を経験してきたまちであり、その経験と教訓を踏まえ、官民が一体となって防災教育や、震災伝承などに絶えず取り組みを続けてきたからこそ、防災意識が極めて高く保たれていると認識している。今後も市防災訓練をはじめ、防災教育の提供、防災出前講座の実施のほか、自主防災組織や事業所向け研修会などを通じ、津波防災と、適時適切な避難行動に関する啓発を継続し、これまで培ってきた避難意識の維持・向上に取り組む」と述べた。
 岡澤議員は見直し内容について「非常に驚く内容で、当初は困惑もしたが、市民生活や企業の経済活動に対して良いものと評価できる」と受け止め、「浸水想定区域への企業誘致の推進にどのように生かすか」と今後の方向性をただした。
 渕上清市長は、港湾施設や幹線道路へのアクセスに優れた産業用地を保持している立地優位性の強みを生かした、これまでの企業誘致策を紹介。「今回の見直しにより、企業では安全確保に必要な措置を講じたうえで、事業活動を継続できる環境が整えられたものと認識している。今後の企業誘致活動では津波浸水想定区域内であることが企業誘致の過度な制約とならないよう、企業に対して市の立地優位性に加え、今回の見直し内容や防潮堤、堤防などの稼働状況について説明していく」とした。