ホテル建設に16億円貸付へ 高田町の「ドーミーインEXPRESS陸前高田」 ふるさと融資制度を活用 市が全員協議会で報告
令和8年6月19日付 1面
陸前高田市議会の全員協議会は18日に開かれ、市当局が「ふるさと融資制度」の活用について説明した。ビジネスホテル「ドーミーイン」などを運営する㈱共立メンテナンス(本社・東京都)が高田町の中心市街地に整備しているホテルの建設について、同制度を活用して16億円の無利子の貸し付けを行おうとするもので、同額の関連事業費を盛り込だ本年度一般会計補正予算案を18日開会の市議会定例会に提出した。来年2月にオープン予定のホテルは、本県沿岸でトップレベルの観光入込客数を誇る同市のさらなるにぎわい創出への貢献が見込まれ、開業に注目が集まる。(菅野弘大)
ホテルの正式名称は「天然温泉 松原の湯 ドーミーインEXPRESS陸前高田」に決定。客室数は134室で、建物は鉄骨造3階建ての宿泊棟と、温泉などが入る供用棟を整備する計画。新規雇用人数は22人の予定で、設備投資などの総額は31億5000万円を見込んでいる。
同制度は、一般財団法人地域総合整備財団(ふるさと財団)が手がける。地域振興や新たな雇用が見込まれる民間事業を支援するべく、民間企業から申請を受けた都道府県または市町村が、長期の無利子資金を融資するもので、同財団は地方公共団体の依頼により、事業の総合的な調査、検討や貸し付けの実行、最終償還に至るまでの事務を行う。
市は、今年4月21日付で同社からの同制度の申請を受けた。貸付金額は、ホテル建設の設備投資等総額の50・79%にあたる16億円で、予定期間は令和9年2月から10年間。償還方法は半年ごとの元金均等返済となる。
同制度を活用する場合、市は貸し付け原資となる地方債を発行するが、償還利子負担分の一部(4分の3)が特別交付税として措置されることから、貸付金額16億円に対し、市が負担する実質的な金額は約4400万円(年利2%計算)と試算している。
この日の全員協議会では、議員から「市がリーダーシップをとって、この制度を活用することはできないのか」「今後金利が上がったとしても、貸し付けを行う決意や思いはあるか」などと質問が上がった。
菅野洋商工交流部長は「民間企業からの申請にもとづいて活用する制度との認識でいる。利率が今後どのようになっていくかは見通せないが、費用対効果として地域経済に大きな影響を与える、そこに経済活性化の見込みがあると考えている」と述べた。
市と共立メンテナンスは令和2年3月、建設に関する覚書を締結。建設地はJR大船渡線BRT陸前高田駅の東側で、6年に着工した。同年9月に市内で行われた安全祈願祭時点では8年夏ごろの開業を予定していたが、建設費高騰を受けて工事を一度中断。事業計画の変更を経て、7年12月から工事を再開した。
同市は県内沿岸の中でトップレベルの観光入込客数を誇るが、滞在時間が短い「通過型観光」の利用が多いという課題を抱えている。ホテルは、宿泊による「滞在型観光」への転換に加え、夜の地元飲食店利用などを含めた地域経済活性化への起爆剤としても期待を集めている。
市商工観光課の熊谷直樹課長補佐は「陸前高田は昔から『通過型』といわれ、観光客数は多くても、観光消費額が伸びないところが課題だった。宿泊で滞在時間が長くなることで、市内の商店街にも波及効果があり、観光消費額の増加にもつながる。市内の観光による経済効果を高めるために、ホテル建設は期待の大きい事業だ」と話した。





