林野火災被災者の仮設住宅入居期間「原則2年」 「延長難しい」と見解示す 市議会一般質問で当局 早期再建向け支援に注力

▲ 仮設住宅退去まで折り返し時期を迎えた中、市などが実施している住宅再建の個別相談会(5月)

 大船渡市議会6月定例会は17~19日、通告に基づく一般質問が行われ、4人の議員が昨年2月に発生した大規模林野火災に関連した対応を取り上げた。平成以降国内最大規模となった山林火災からの復旧に向けて課題が山積する中、全国の参考となる「復興」にかじを切ろうと「いわて・大船渡モデル」を掲げて動きだした同市。住まいを失った被災者向けに用意された仮設住宅は入居から1年が経過しており、法律で原則2年と定められている入居期間について、当局は「延長は難しいと考えている」との見方を示し、「一日も早く新しい環境で生活を始められるよう支援に取り組む」と答弁した。(高橋 信、2面に一般質問の主なやり取り)

 

 大規模林野火災を取り上げたのは、18日に宮﨑和貴議員(新政同友会)、19日に滝田松男議員(日本共産党大船渡市議団)、森操議員(無所属)、小松龍一議員(無所属)。
 このうち、被災者の住宅再建に関して質問したのは滝田議員。東日本大震災、能登半島地震などが該当する「特定非常災害」に指定されていないことから、仮設住宅の入居期間は法律上、原則2年となっており、「2年以内の退去が難しい場合、どのように考えるか」と答弁を求めた。
 建設型の仮設住宅は、旧綾里中と旧蛸ノ浦小の両グラウンドに計33戸が整備され、昨年5月に入居開始。市営・県営の公営住宅空き室や、民間賃貸アパートの「みなし仮設住宅」も受け皿として用意し、5月末現在、建設型、公営住宅、「みなし」の3種類に52世帯が入居している。
 長岩智徳都市整備部長は震災発生後、住宅再建の柱として大規模に展開された防災集団移転促進事業や災害公営住宅整備事業の長期化に伴い、仮設住宅の入居期間が延びた事情と異なることから、「(入居期間の)延長は難しいと考えている」と説明。市などが展開している住宅再建支援策を伝えたうえ、「今後も関係機関と連携した相談会を継続実施するなど、被災者が一日も早く新しい環境で生活を始められるよう支援に取り組む」と述べた。
 同議員は再質問で、入居期間内で住宅再建が完了しない場合の対応などついて見通しを尋ねた。
 三浦寛基住宅管理課長は「本人の責任によらない事情で再建が遅れる被災者に対しては、一定の配慮が必要と考えている。しかし、現時点で国、県からそうした被災者への対処に関することは何も示されておらず、市としては仮設住宅の入居期間内で早期再建ができるように個別相談会などを通じてサポートしていきたい」と答えた。
 宮﨑議員は、国の激甚災害指定に伴う森林災害復旧事業の対象期間が令和10年度までとなっていることについて、「残された時間はあまりにも足りない。より迅速な判断と対応が求められる」と指摘。本年度から本格化した同復旧事業の見通しを尋ねた。
 藤枝修副市長は復旧事業の実施手順を説明。「最重要課題の一つに挙げられるのが、一連の手続きを限られた時間の中でいかに迅速かつ、広範囲に進めていくかという点。当面の大きな課題は、私有林における境界確認の迅速化であり、森林所有者に迅速化の必要性について丁寧な説明に努め、速やかに理解してもらえるよう最大限の努力をする」と答弁した。
 森議員は、海と森林との密接な関係性の観点から植林の重要性を訴え、被災した私有林における植林推進策をただした。
 渕上清市長は「私有林の復旧事業推進には、計画的な発注と労働力に関する状況把握を進めながら、事業を実施することが重要。標準的な作業期間や年間発注可能量を試算したい。境界確認作業の迅速化を図る方法なども関係機関と検討・協議したい」と答えた。
 小松議員は、市が今年3月に森林再生計画策定にこぎ着けたことについて「スピード感に欠けることは否めない」とし、「再生計画を進めるうえでの体制、司令塔の役割は」と質問した。
 松川伸一林野火災対策局長は、再生計画作成の主体である市林地再生対策協議会を構成する市、国、県、森林組合などによる連携体制を紹介。そのうえで「市は森林再生の総合的な調整や管理を担う主体として、事業発注や関係機関との連絡調整を行うほか、事業の進捗状況を取りまとめるなど、まさに司令塔の役割を担っている。森林の境界確認や労働力の確保、有効な情報発信など多くの課題があるが、司令塔として関係機関と緊密に連携しながら、着実な森林再生につなげていく」と述べた。