「市民の森」施設改修へ 市当局、定例会一般質問で方針示す 杉の家や気仙大工左官伝承館 設置40年で老朽化進む

▲ 補修、整備の見通しが示された小友町・市民の森の「杉の家はこね」

 陸前高田市議会6月定例会は23日、通告に基づく一般質問が行われ、市当局は小友町の箱根山中腹にある「市民の森」内の主要観光施設について、改修工事を行う方針を示した。「杉の家はこね」の雨漏り箇所の修繕にかかる経費を盛り込む本年度一般会計補正予算案を今定例会に提出。今後は2、3年かけて財源を確保しながら、気仙大工左官伝承館などを含めた施設の補修、整備に加え、周辺の樹木伐採による景観維持も行う計画で、佐々木拓市長は「市民や観光客が本市の伝統文化に触れ、子どもたちが自然に親しみながら遊び、東日本大震災の記憶伝承の場として、引き続き大切に管理しながら活用していくべき施設」との見解を示した。(菅野弘大、2面に一般質問の主なやり取り)


 市民の森について取り上げたのは、大和田加代子議員(無所属)。市民の森を形成する施設の老朽化が進んでいるとし、「市民の森の活用の方向性と、施設改修の見通しは」と尋ねた。
 市民の森は昭和62年、市民の保健、休養、森林愛護および環境保全に対する知識の向上とともに、森林に関する体験的学習を通じて、健康づくり、学習、保養の場を提供することを狙いに設置。気仙木材の需要拡大を目的に、木工作体験もできる杉の家はこね、気仙大工左官の優れた建築技法を後世に伝える気仙大工左官伝承館、全長252㍍、高低差50㍍のローラー滑り台や帆船をかたどった木製アスレチック遊具がそろう「わんぱく広場」などが整備され、地域、世代を問わず、多くの人が足を運んでいる。
 しかし、設置から約40年を迎え、施設の老朽化が顕著に。ローラー滑り台は、安全性の問題から、現在の使用可能区間は41・5㍍に限られている。
 杉の家では屋根からの雨漏りや、キツツキが壁に穴を開けるなどの被害を確認。伝承館のかやぶき屋根も、カヤが抜けたりし、補修が必要な状況にある。
 また、杉の家を巡っては、市出身の著名な画家の美術品や、震災後の文化財レスキューで修復された貴重な作品を展示、保全する施設として活用できないか、市が設置した有識者会議で令和6年度から検討してきた。
 昨年3月、市内4カ所の候補施設の中から、ロケーションや施設外観を踏まえて、いったんは同施設に決まったものの、改修費が最大約3億3000万円に膨らむことが判明。財源確保が困難であるため白紙となり、有識者会議はその後、美術展示保全施設の開設場所について、米崎町の旧高田東中校舎(旧陸前高田グローバルキャンパス)を軸に検討する方針を示している。
 佐々木市長は答弁で、今年4月に指定管理を担う箱根振興会と意見交換を実施したことに触れ、「近年は震災復興事業を優先せざるを得なかったことなどから、維持管理を十分に行えない状況が続いていた。施設の寿命を最大限延ばし、将来的な財政負担の軽減を図る予防保全の観点に留意しつつ、経費抑制にも努めながら、来年度予算案に必要な補修、整備にかかる経費の一部を計上する方向で、具体的な検討を進めたい」と語った。
 大和田議員は再質問で「杉の家はこねの改修後は、木工体験の場として使うのか」と施設活用の方針についてただした。
 佐々木市長は「箱根振興会の方々からも『美術品を展示する施設として活用されれば、利用者も飛躍的に増えるのではないか』との意見をいただいた。こうした意見を受け止めて、施設の活用を検討したい」と答えた。