「地域に感謝」24年で幕 ブックポートねぎし猪川店が今月末閉店 デジタル化進み本店に営業集約

▲ 30日で閉店するブックポートねぎし猪川店

 24年にわたり「まちの書店」として地域住民らに親しまれてきた、大船渡市のブックポートねぎし猪川店が、30日(火)で閉店する。経営する㈲ブックポートネギシ(千葉聖子代表取締役)は、大船渡町のキャッセン大船渡内に構える本店に営業を集約し、猪川店で行っていた本の取り置きなどを継続。スタッフは「地域の皆さんに支えられた」と、感謝を込める。(佐藤 壮)

 

 三陸沿岸道の大船渡インターチェンジ付近に位置する同店。国道45号沿いなどにロードサイド型の店舗が多くなった平成14年9月に開店した。店内には、約4万5000冊の書籍や文房具などを取りそろえる。
 千葉代表取締役は「ビジネス書や政治関係など、お客さんに合わせて品ぞろえをしてきた。本が好きな方に支えられてきた。お客さんの趣向が、お店をつくっていった」と振り返る。地元出版物の販売にも積極的に対応してきた。
 授業や部活動を終えた高校生をはじめ、幅広い世代が立ち寄りやすい場であり続けた。閉店告知を受け、来店客から「さみしい」といった声が寄せられる。
 「いつもお店に行くのを楽しみにしています。今年も行きます」と年賀状を寄せた子どもが、大人になった今も訪れる。「来るのが楽しみなんだよ」と、足が不自由ながらも毎週バスに乗って訪れる高齢者。店舗に活気をもたらした北里大学のアルバイト学生——など、店舗スタッフの思い出は多岐にわたる。
 東日本大震災では、大船渡町にあった当時の本店が全壊。猪川店には多くの地域住民らが訪れ、本を買い求めた。千葉代表取締役は「本が必要とされていることを実感した。震災時に本を供給できたのは、書店人にとってはいい思い出」と語る。
 デジタル化が進み、読書を取り巻く環境が変化するなどして、全国的に書店の苦境が叫ばれている。ブックポートでは、本店での営業に集中する決断を下し、今月から猪川店閉店の周知を始めた。
 定期刊行される雑誌を店頭取り置きや予約で購入していた顧客には、閉店予定を直接報告し、その後の対応希望を聞いた。「キャンセル」はほとんどなく、配達や本店での取り置きを望んだ。スタッフは、本や雑誌を愛する住民の根強い期待を思い知る1カ月間にもなっている。
 猪川店では30日まで、午前9時30分~午後8時の営業を続ける。千葉代表取締役は「本を販売する仕事をしてきたが、それ以上に、地域の皆さんとの出会いや交流に支えられてきたと感じる。本店でも引き続き、人々とのつながりを大切にしたい」と話している。