クマ目撃情報 6月急増 単月で前年比2・5倍の61件 市、人的被害防止の周知に注力
令和8年7月7日付 1面
大船渡市内で本年度、ツキノワグマの出没が急増している。6月末時点の目撃情報は、前年同月と比べて33件(70・2%)も多い80件。特に6月は単月で61件に上り、前年の約2・5倍と大幅に増えた。市は緊張感を持ちながら各種対策を展開し、出没情報を得るたびに防災行政無線とSNSを駆使して目撃場所を周知しているほか、捕獲にも取り組んでいる。本年度は現時点で市内における人的被害はないものの、住民の不安は高まっており、予断を許さない状況がしばらく続きそうだ。(高橋 信)
市によると、月別の目撃情報は4月4件、5月15件、6月61件。町・地区別では越喜来の19件が最多で、以下、立根13件、盛12件、大船渡10件などと続く。
6月は連日のように目撃情報があり、同月の地区別に見ると、最も多かったのは越喜来の17件。同地区は5月末まで2件だったが、6月は出没が相次いだ。
同様に5月末まで、ともに1件ずつだった盛町と大船渡町も6月に11件、9件と急増。市役所そばなど人通りが多いエリアでも確認され、住民からは「どこに出てもおかしくない状況だ」などと不安の声が聞かれる。
本年度の捕獲数は6月末現在、前年同月と同じ6頭となっている。
近年、全国的にクマの出没や人身被害が増加傾向にある。クマの行動範囲の拡大や人間への警戒心の低下などが指摘され、市民の安全確保の重要性が高まっている。
こうした中、市は今春、クマ専用の箱わな2基を追加で購入。既存の3基、クマとイノシシ兼用の2基を含めて合計7基に増やした。
目撃情報は平時の場合、防災行政無線による放送を町や地域ごとに限定しているが、県がクマ出没に関する警報を県全域に発令中である状況などを踏まえ、情報が寄せられるたびに市内全域に拡大して流している。市公式LINE(ライン)に加え、県が提供するクマ出没情報共有アプリ「Bears(ベアーズ)」も積極的に活用し、SNSなどによる情報発信も強化を図っている。
6月はクマを引きつけるクワの実が熟す時期に当たり、出没増加が見込まれることから、市農林課は警戒を強化。そうした中で過去にないほどのペースで出没し、担当者は「ここまで多くの目撃は、記憶の限り例がない」と驚く。
同課は市鳥獣被害対策実施隊による追い払い、パトロールのほか、出没が相次いだ場所に箱わなを設置。6月末には盛町下舘下地内で、今月3日には三陸町越喜来大平地内でそれぞれ1頭ずつを捕獲した。6月下旬には狩猟免許を持つ同課担当職員が立根町の福祉の里センター周辺をパトロール中に1頭を確認し、その場で捕獲。いずれもクマの目撃情報が多数寄せられていた場所だった。
市は、クマと人間の生活圏を空間的に切り分けるゾーニング、緩衝帯の整備・管理を被害防止対策の柱と捉え、やぶの刈り払いや放任果樹の伐採、誘引物の除去に関する市民への周知徹底を強化。今後は情報発信と並行し、クマ対策の課題把握に努め、先進事例を参考にした実践的な研修・訓練の実施なども検討していく。
市農林課林業係の志田朋史係長は「決して油断できない。クマを引き寄せないための対策の周知を随時行っており、引き続き緊張感を持ちながら、人的被害を防ぐための情報発信などに取り組んでいく」と気を引き締める。
本年度の出没状況(6月末時点)は別掲。クマ出没などに関する問い合わせは、同係(℡27・3111内線353)へ。






