震災契機の絆 これからも 市が自治体国際交流表彰受賞 米クレセントシティとのつながり評価 高校生、市民の相互派遣など

▲ 自治体国際交流表彰を受賞し、総務省で表彰を受ける佐々木市長㊧(陸前高田市提供)

 陸前高田市は、東日本大震災後の米カリフォルニア州クレセントシティ市との国際交流の取り組みが認められ、第20回自治体国際交流表彰(総務大臣賞)を受賞した。5月に東京都の総務省で表彰式が行われ、佐々木拓市長が高橋克法総務副大臣から表彰状と記念の盾を受け取り、今月2日には県庁で達増拓也知事に受賞を報告。震災津波で流出した高田高校の実習船が流れ着いたことから生まれた両市の縁は、発生から間もなく15年4カ月が経過しようとする中でも絶えず続いており、今後のさらなる交友関係の深化に期待が高まる。(菅野弘大)

 

 総務省、一般財団法人自治体国際化協会が主催する表彰は、日本と海外の各自治体の創意工夫に富んだ交流活動を紹介し、自治体国際交流の活性化を図ろうと、平成18年度から実施。本県では過去に釜石市(平成24年)、雫石町国際交流協会(同28年)が受賞しており、今回は陸前高田市、茅ケ崎市(神奈川県)、湯河原町(同)が選出された。
 県庁で達増知事に受賞を報告した佐々木市長は「被災から15年という節目に受賞できたことはありがたい。震災の記憶を語るときは痛みを伴うが、クレセントシティとの交流は、笑顔で語れる数少ない震災の話題になっている」と振り返り、「一過性ではなく、30年、50年、100年と取り組みが語り継がれるようにしたい」と活動のさらなる発展を誓った。
 達増知事は「陸前高田とクレセントシティの関係は震災津波と復興の象徴でもある。今回の受賞は、将来のことを考えるいい契機にもなる」とたたえた。
 陸前高田市とクレセントシティ市の交流は、震災津波で流出した高田高の実習船「かもめ」が、約2年の漂流を経てクレセントシティ市に漂着したことがきっかけ。かもめは現地のデルノーテ高生徒らの協力で返還され、その後、両高校生徒の相互派遣交流も始まった。同29年には国際姉妹校となり、今年も1月に高田高生がクレセントシティ市、2月にデルノーテ高生が陸前高田市をそれぞれ訪ねた。
 高校同士の交流は行政や市民にも波及し、互いに津波被災地であり、被害から復興してきた歴史を持つことなどから、同30年に姉妹都市協定を締結。両市の有志団体を中心とした市民訪問団の派遣プログラムも継続して行われ、4月にも陸前高田市民が渡米し、親善イベントなどに参加した。
 震災後、陸前高田市の海外広報ディレクターや特別顧問などを歴任し、両市の関係づくりに奔走したアミア・ミラーさんも、交友関係が続いていることを喜ぶ。両市民から反発を受けながらも「互いに学び合い、共感し合える」と信じて姉妹校、姉妹都市にしようと動いた当時について「陸前高田とクレセントシティがつながるチャンスを逃してはいけないと思った。反対の声を押し切ってでも、やって良かったと思っている」と振り返った。
 そのうえで「この交流から生まれた新しいビジネスや人間関係があり、今まで考えもしなかった形でつながっている部分もある。両市民の人生を変える大きなことだったと今でも思っている」と自負し、「外国に行ったことのない高校生が、全く違う文化と社会に接し、お互いに学び合い、友達関係を大事にすることで、海外に『いとこができた』と思えるようになればうれしい。両市民が交流を続けることで、このストーリーを世界中の多くの人に知ってもらえれば。少しのきっかけが、人生を大きく変える。陸前高田とクレセントシティの市民がこれからも互いのまちを行き来し、それぞれを理解し合える存在として交流を深めてもらいたい」と願った。