震災前の思い出つなぐ味 マイヤの「あの頃のマイヤフライドポテト」 販売6年 総菜定番商品に 「変わらずに愛されて」継承誓う
令和8年7月11日付 7面
大船渡市に本社を置く㈱マイヤ(米谷春夫代表取締役会長)の総菜商品「あの頃のマイヤフライドポテト」は、令和2年の販売開始から6年を迎えた。東日本大震災前、大船渡町のマイヤ本店で販売されていたフライドポテトにまつわる思い出を取り上げた本紙「世迷言」をきっかけに商品化。濃いめのスパイシーな味わいは、県内陸部の店舗でも、気仙出身者らの口コミで広がり、グループ全店の総菜コーナーに欠かせない定番商品となった。マイヤでは「変わらぬ味」の継承を誓う。(佐藤 壮)
震災前、大船渡町の本店1階のファストフード店「ワンダーランド」で販売していた、スティック状のフライドポテト。津波で全壊した本店は解体され、平成28年6月2日、大船渡駅周辺土地区画整理事業区域内に新たな大船渡店がオープンした。まち全体に震災前の面影が薄れる中、令和2年7月8日付の「世迷言」でつづられた〝あの味〟の復活を望む内容が反響を呼んだ。
「『なんとかできないものか』という社内の声から始まった」
デリカチーフバイヤーの尾形英一さん(52)は開発に乗り出した当時を、こう振り返る。レシピも失われていた中、当時を知る従業員らにスパイス配合などの聞き取りを重ね、試作品をまとめた。
この年はコロナ禍で消費者の買い物頻度が減り、さらに書き入れ時となる三陸・大船渡花火大会の夏まつりが中止。地域経済に暗い影を落としていた時期に、大船渡店の店頭で販売したところ好評を博した。
食べた人の記憶に残る味を目指した結果、総菜としては濃く、パンチの効いた仕上がりとなった。店内販売に向け、購入から食べるまでに時間が経過する点を考慮し、ポテトは三日月形で皮をつけたままの「ウェッジカット」とした。多くの人に「これだ!」とお墨付きをもらった半面、尾形さんは「味が濃すぎる。大丈夫かな」と、バイヤーとしての不安は消えなかった。
その年の秋までにグループ全店で販売され、内陸部の店舗でも売り上げが伸びた。店内では「私、沿岸出身なんです」と、商品を手に取る購入者の姿もあったという。「震災前の店舗を知る人たちの口コミによって広がった面もあると思う」と、尾形さんは語る。
多くのスパイスを組み合わせて復活させたオリジナルの味は、6年を迎えた今も変わらない。立根町のマイヤ大船渡インター店で販売しているフライドポテトも、現在は同じ調味料の配合になっているという。
今年、全国ご当地スーパー協会が主催する「ご当地スーパーグランプリ2026」のスーパー食部門で入賞を果たした。尾形さんは「入賞よりも、長く売れるのがうれしい。お客さんに愛され続けてほしい」と期待を込める。






