公共交通の満足度向上へ AIオンデマンド交通 エリア拡大、10月から実証運行

▲ エリアを拡大して10月から実証運行を始めるAIオンデマンド交通

 陸前高田市は本年度、AIオンデマンド交通「たかたスマートモビリティ(スマモビ)」の実証運行エリアを拡大する。昨年12月から今年3月末まで実証を行った市内西部エリア(矢作、竹駒、気仙、高田、米崎各町)に、東部エリア(高田、米崎両町の一部)を追加し、市内中心部における公共交通の満足度向上を図る。今後はシステム改修や乗降ポイント設定などの各種調整、運行にかかる広報周知を行い、実証運行は10月からを見込んでいる。(菅野弘大)


 AIオンデマンド交通は、人工知能(AI)機能を活用し、効率的な配車と最適なルート選択を可能にする乗り合い型の新たな交通サービス。時刻表や決まった経路を設定せず、予約状況などに応じてAIが選んだルートを走るもので、乗降場所を多く設定できるため、既存の路線バス停留所よりも自宅に近い場所で乗り降りでき、利用者の利便性向上、輸送コストの低減、交通空白区解消などが期待されている。
 実証運行は、昨年12月から今年3月末まで、市西部の循環バス「たかたコミュニティバス西部線」運行エリアの高田、気仙、竹駒、矢作、米崎の各町内一部地域で実施。延べ利用者数は843人、1日平均約7人で、AIオンデマンド交通は西部コミュニティバスと比較して利用者が増加した。3月末時点の利用会員は122人で、その半数が3回以上の利用実績があった。
 また、西部コミュニティバスの停留所がなく、通らない道、場所での移動が多く発生していることから、潜在的な移動ニーズのカバーにも成功。停留所があっても移動ニーズのない場所は、スマモビによる空運行の削減につながった。
 予約の手段は、LINEなどのアプリやウェブからが約6割を占め、10~50代を中心にデジタル機器による予約が浸透。年代が上がると電話予約の比率が大きく、今後の継続性や予約を受け付けるセンターの負担軽減を見据え、高齢世代の電話からアプリ、ウェブ予約への移行が課題となっている。
 本年度は、好調なスマモビの利用状況を踏まえ、運行エリアの拡大を計画。新たに、コミュニティバス東部線の沿線である高田、米崎両町の一部を実証の対象とし、同バスは東部・西部両線とも当面の間休止扱いとする。
 利用できるのは事前登録を行った市民などで、運行区域は市西部に東部も加えた5町。乗降ポイントはエリア拡大に伴い、従来の100カ所に新たに90カ所程度を追加する予定で、道路状況などを踏まえて決定する。
 時間は昨年度の実証から延長し、午前9時~午後1時と午後1時30分~5時に毎日運行。車両は9人乗りハイエース2台体制で、事業者は変わらず㈱気仙タクシーと高田タクシー㈲が2週間交代制で運行する。
 運賃は、タクシーの初乗り運賃や他自治体の状況も踏まえてそれぞれ値上げし、電話予約は500円、アプリなどによる予約が300円とする。
 市内公共交通ネットワークについて、市中心部はスマモビやタクシーによる「面的な移動」で利便性を確保。「線的な移動」は県立高田病院、アバッセたかたなどを通る市郊外部からの定期路線やグリーンスローモビリティ(モビタ)がカバーする。
 市郊外部はこれまで通り「線的な移動」を維持。▽生出・矢作・下矢作(生出線)▽横田・竹駒北部(陸前高田住田線)▽長部・今泉(長部今泉線)▽小友・広田(広田線、広田半島線)──は、定期路線を優先して整備維持を行い、定期路線の運行経路や停留所から遠い地域については、デマンド交通や支え合い交通などの「面的な移動」を補助運用し、移動の利便性確保に努める。