「ふね遺産」認定を弾みに 気仙丸で報告見学会 保全プロジェクトの発信も(別写真あり)
令和8年7月19日付 1面
大船渡商工会議所(米谷春夫会頭)が所有する木造千石船の復元船「気仙丸」の「ふね遺産」認定を記念した報告見学会が18日、大船渡市大船渡町の陸揚げ展示場で開かれた。15年前の東日本大震災で奇跡的に流されず残り、江戸時代の海運を支えた大型木造帆船である弁才船の建造技術を後世に伝え残す価値が評価された中、改めて気仙丸の魅力を発信。認定を喜ぶとともに、さらなる利活用や保全プロジェクト活動の充実を誓い合った。(佐藤 壮)
ふね遺産は、公益社団法人日本船舶海洋工学会が認定。歴史的で学術・技術面で価値のある船舶や、関連設備を認定して広く社会に周知し、文化的遺産として次世代に伝えようと、今年で10回目を迎えた。
気仙丸の認定は、全体では第59号で、現存船では第26号。今月14日、東京都内で認定式が開かれ、認定プレートなどが船を所有する商議所職員に贈られた。こうした中、同商議所では認定報告に加え、先月から本格化している保全プロジェクトの進捗も紹介しようと報告見学会を企画した。
開会セレモニーでは、同商議所地域振興部の小原勝午部長が「認定は応援、支援してくださった皆さんのおかげ。喜びを分かち合うとともに、保全の思いを共有できれば」とあいさつ。気仙船匠会(昨年解散)で長年副会長を務め、気仙丸の建造に船大工として関わった菅野孝男さん(82)=陸前高田市気仙町=は「気仙丸は、大船渡の宝。大人になっても大切に見守ってほしい」と、訪れた子どもたちに語りかけた。
引き続き、同商議所職員が認定までの経緯や、船体の長寿命化を見据えた保全プロジェクトの取り組みを説明。近年、風雨や紫外線による木材のひび割れ、腐食といった老朽化が進む中、クラウドファンディングで集まった寄付を生かして船室や甲板部に防水シートを施工する雨水対策や、抗酸化作用がある椿油を試験的に塗布する手法が示された。
ガイド付きの見学では、参加者が船底部など「蒸し曲げ」によってなめらかな曲線構造に仕上げられた建造技術に加え、1本の木から加工した長さ17㍍の帆柱をはじめ、品質に優れた地元木材を活用した点など、今後も伝え残すべき「地域の誇り」を学習。江戸時代、弁才船で各地に輸送された三陸産のアワビ、ナマコ、フカヒレといった各乾燥食材は、長崎貿易で中国向けに輸出される海産物として重宝された歴史にも理解を深めた。
船室では、帆を揚げ下げしたり、調整する「ろくろ」を操作。荷物を積み入れるスペースや、椿油を試験的に塗布した部材なども眺めた。
見学した大船渡一中の互野來さん(1年)は「船に乗れるというので来た。荷室のところにある『船の神様(船霊様)』も見ることができて楽しかった」と話し、笑顔を見せていた。
この日は認定を祝い、船上からの餅まきも行われた。市内の小学生だけでなく、同日開幕した「ケセンロックフェスティバル」に来場しようと付近を通りかかった人々も立ち寄り、にぎわいに包まれた。






