継承願い 手製虎頭贈る 釜石市の山田さん 気仙町の仲町虎舞部に(別写真あり)

▲ 山田さん(中央)が手がけた五つの虎頭を仲町虎舞部に寄贈

 陸前高田市気仙町の芸能「仲町虎舞」を継承する、なかまち「絆」の会仲町虎舞部(山﨑正之部長)に19日、釜石市甲子町の山田修一さん(61)から手製の虎頭五つが贈られた。白虎一つを含む本番用三つと練習用の二つで、山田さんは虎の胴体となる虎幕の製作も約束。地域芸能の継承を願う山田さんの熱い思いに同会関係者らは感謝し、より活動に力を入れていくと誓った。
 仲町虎舞は昭和30年、気仙町今泉にある仲町の住民らが市制施行の祝賀会で披露したのが始まりとされ、釜石市で数百年の歴史があるといわれる釜石虎舞を起源としている。平成23年の東日本大震災発生前は、旧仲町町内会青年部が伝承活動に取り組んでいた。
 しかし、震災の大津波で仲町は壊滅的な被害を受け、地域住民の3分の1が犠牲となった。虎舞の用具も流失したが、がれきの中から子虎の頭が奇跡的に見つかり、仲町虎舞発祥の経緯を知る釜石市内の芸能団体からは虎頭一つが寄贈された。
 震災の影響で町内会が解散し、住民らは震災前のつながりを保ち続けようと、なかまち「絆」の会を結成。贈られた虎頭をきっかけに、虎舞の活動を再開した。仲町虎舞部は28年に設けられ、現在は移住者らも伝承活動を支えている。
 活動を続ける中で、震災後に釜石から贈られた虎頭の製作者が山田さんと判明。それから交流が生まれ、今年3月には山田さんが作った子白虎の頭1体が仲町虎舞部に贈られた。
 山田さんはその後も同部に心を寄せ、新たな虎頭を製作。張り子の手法で大きさ約30㌢四方の虎頭五つを用意し、19日に気仙町の今泉地区コミュニティセンターで贈呈式した。
 同会からは岩渕達夫会長(72)や役員、山﨑部長(64)ら4人が出席。本番用のうち、白虎を含む2体の頰には仲町虎舞の頭文字から「NT」と見える模様を入れるなど、山田さんが工夫を凝らして作った虎頭に「たいしたもんだ」「見れば見るほどいい顔だ」と話し、思いのこもった贈り物に深く感謝した。
 山田さんは「塗り替えをしながら大事に使えば、50年はもつ。末長く大事に使ってもらい、仲町虎舞を伝承してほしい」と述べ、今回用意した頭に合わせた虎幕の製作も約束した。
 山﨑部長は「練習用は早速使わせてもらいたい。白虎の幕が完成したあかつきには、親子の2頭で舞を披露したい」と誓いを込めた。
 岩渕会長は「山田さんには仲町虎舞を気にかけてもらい、頭を五つも製作いただいた。活用して練習に励み、恩返しをしたい。これからも交流、指導を受けながら活動を続けたい」と話していた。