基金運用先に債券 市が財源確保、社会貢献を目的に 4年目の取り組み 本年度3・8億円投資へ
令和8年7月28日付 1面
大船渡市は本年度も、債券による基金運用に取り組んでいる。自主財源の確保と、社会貢献活動の取り組み推進を目的に、令和5年度、預金のみでなく、債券の運用に一部シフト。運用可能限度額を19億円と定め、4年目の本年度も前年度と同額の3億8000万円を投資に充てる計画だ。第1弾で県発行のSDGs債「グリーン/ブルーボンド」を1億円分購入し、三陸沿岸の保全強化などを推し進める県の事業に、「海のまち・大船渡」として協力する。(高橋 信)
グリーン/ブルーボンドは、環境改善効果を有するプロジェクトのうち、特に海洋資源・生態系の保護などに資する取り組みに充当先を限定した資金調達のために発行される債券。県は令和5年7月、全国の地方公共団体で初の事例として発行した。
本年度1回目は、24日に50億円分発行。大船渡市は1億円を購入した。市が同債券を購入するのは5年度以降4年連続となる。
県の発表によると、同債券の投資を表明したのは24日現在、同市を含む自治体や民間会社、社会福祉法人など94者。陸前高田市、住田町も購入した。
大船渡市が本年度、債券の投資に回す資金は残り2億8000万円。利回りやSDGsへの貢献、発行元の資金調達趣旨を踏まえ、償還期間が10年以下の公債などから投資先を総合的に検討していく。
自治体の基金は条例に基づき、特定の目的のために積み立て、運用されている。市は財政調整基金、土地開発基金、減債基金、まちづくり基金など10を超える基金を設けている。
大半を定期預金で管理しているが、低金利が続き、定期預金に依存した資金運用では効率的に収益を確保することが困難となった状況を踏まえ、市は令和5年度、市資金管理運用基準を見直すとともに、市債券運用指針を策定。債券による資金運用を本格的に始めた。
元本割れのリスクが低い安全性を最優先に運用益増を図ることとし、債券は国債、地方債、政府関係機関債などの中から、社会貢献性も考慮して保有する方針。将来における基金の取り崩しリスクや基金残高などを踏まえ、運用可能限度額を19億円に設定した。
債券は市デジタル田園都市国家構想総合戦略(5~9年度)の考え方に合致することから、SDGs債を積極的に購入。投資先は5年度がいずれもSDGs債の4銘柄、6年度と7年度がそれぞれSDGs債四つ、地方債一つの計5銘柄。償還期限は3~10年のいずれかで、1年当たり計3億8000万円分を購入してきた。
市会計課によると、9年度で運用可能限度額に達する見通しのため、以降は債券の満期日に払い戻される償還金を運用費に充当する。
同課の佐藤雅基会計管理者は「人口減、少子高齢化を背景に、税収確保に厳しさが増す状況が見込まれる中、債券への投資は自主財源確保の一つの柱となる。一方で、リスクを冷静に考慮し、適切に運用することが大前提であり、投資する銘柄なども慎重に検討していく。大規模林野火災で県内外から温かな支援をいただいている市として、SDGs債をはじめとした債券による基金運用を通じ、地域社会に貢献する姿勢も示していきたい」と展望する。





