「選ばれる街」への鍵は 市地域おこし協力隊企画の座談会 アンケートもとに定住・定着向上探る
令和8年7月29日付 1面
大船渡市の地域おこし協力隊員が企画した座談会「『選ばれる街』であり続けるために移住者のホンネから考える」が27日、大船渡町のキャッセン大船渡内の大船渡移住・定住相談センタートモヅナで開かれた。市内では団体委託型での隊員の採用が伸び、現在、25人が活動する中、任期満了後の定住・定着率をどう伸ばすかにも関心が高まりつつある。参加者は事前に実施したアンケート結果をもとに、定住や交流人口拡大へのあり方を探った。(佐藤 壮)
地域おこし協力隊制度は、都市圏から地方自治体に住民票を移動し、生活の拠点を移した人に委嘱。隊員は、課題解決や地域活性化などにつながる活動を展開している。市によると、現時点での地域おこし協力隊員は25人。年々増えており、来月にも新たな着任予定がある。
増加要因の一つが、令和6年度に導入した団体委託型。企業や団体が隊員とともに取り組む活動を提案し、市が審査。市が提案をもとに、受け入れ事業者として選定し、隊員を募集する。市からは受け入れ事業者に対し、年額550万円を上限に委託料が支払われる。
活動期間は、原則最長3年。制度自体がその地域の定住・定着を図る目的の取り組みとなっており、隊員の任期満了後の活動にも注目が集まる。
座談会は、7年度から活動している隊員の津田和美さん(51)=愛知県出身=が企画。事前に現役隊員や任期を終えた隊員に実施したアンケートをもとに、未来の大船渡について意見を出し合おうと準備を進めてきた。
26人に協力を求め、17人が回答。移住理由や大船渡の魅力に加え▽大船渡での「働き方」「仕事・収入面」について、実感として近いものは▽隊員らに「選ばれる(住み続けたい)街」へ、地域として特に強化すべきことは──などを尋ねた。
「働き方」「仕事・収入面」に関して(複数選択可)は、最多が「副業や新しいビジネスに挑戦できる環境(余白)があると感じる」が9人。「やりがいのある仕事に出合えた」が8人だった。
一方で「現在の仕事内容には満足しているが、将来的な収入面にやや不安がある」が6人、「自分のスキルや経験を生かせる仕事が地域内で見つけにくい」が2人おり、定住・定着への不安もうかがえた。
「選ばれる街」に向けて(同)は、「若者や移住者が魅力に感じる仕事(就業先)の創出・誘致」が10人、「起業や副業、新しいビジネスへの支援」「住宅(空き家活用など)の確保・支援」が各8人で、「子育て世代や医療・福祉の環境充実」「移住者が地域になじめるような交流の機会」が各6人と続いた。
座談会には、現役隊員やOB隊員、移住者、市内を訪れていた県外在住者ら約10人が参加。住宅の確保に関しては「なかなか空き家の情報を得られない」「空き家を使ってほしいと思っている地域の方は多いのではないか。そのマッチングが重要ではないか」といった発言が出た。
移住・定住にとどまらず、交流人口拡大に向けても意見を交わした。「定住を考えるよりも、2拠点生活の方が現実的では」「生活拠点の維持に課題がある。どうしてもメンテナンスや税金の問題が出てくる。使っていない間も〝稼働〟させなければ」などの声が寄せられたほか、医療や教育の環境も話題に上った。
津田さんは今後も、隊員自身が感じる大船渡の魅力や課題などの発信を見据える。「隊員になろうとしている人たちは、自らがやりたいことを踏まえ、他自治体の募集も比較しながら選ぶ。定住率もポイントの一つで、低ければ隊員確保にもマイナスになりかねない。私たちにとって、卒隊後のあり方は避けて通れない。今後も隊員自身が考えるきっかけをつくりたい」と話している。






