姉妹都市の〝素顔〟語る 自然や文化に多くの共通性 米在住夫妻が講話(別写真あり)
令和8年7月31日付 7面
陸前高田市高田町の奇跡の一本松ホールで29日夜、同市の姉妹都市である米国カリフォルニア州デルノーテ郡クレセントシティ市在住の亜希・ダウニングさん(38)と、夫のクリス・ダウニングさん(44)によるセミナーが開かれた。平成30年の姉妹都市協定の締結から8年が経過した中、2人は陸前高田市民にもいまだ知られざる〝姉妹都市の素顔〟を明かし、「海を越えた交流を通じ、これからもお互いに学び合おう」と呼びかけた。
「クレセントシティの大自然・文化と先住民ユロック族の生活」と題した同セミナーは、陸前高田市の「クレセントシティ友好の会」(大林孝典会長)が企画。クレセントシティの国際姉妹都市財団「カモメ基金」理事の亜希さんと、米国先住民ユロック族として生まれ育ち、現在は部族の警察官、英語の教師も務めるクリスさんが登壇した。
2人はまずクレセントシティの誇れる点として、米国西海岸の特産であるダンジネスクラブ(アメリカイチョウガニ)の水揚げ量が、カリフォルニア州全体のおよそ半分を占めていること、『スター・ウォーズ』『E・T』『ジュラシックパーク』といった名作映画のロケ地になったことなどを挙げ、人口約6000人の〝小さなまち〟の豊かな特色を伝えた。
同市にはユロック族とトロワ族という二つのネイティブアメリカンが暮らしており、クリスさんはこのうち、数千年ものあいだ地域に根差してきた、自身のルーツでもあるユロック族について説明。装飾や、伝統の家の様式、祈りの儀式、タトゥー(入れ墨)、川で取れるサーモンが「単なる食べ物ではなく大切な存在」であることなど、独自の文化について語り、樹高100㍍級の巨木が連なるレッドウッドの深い森、雄大なスミス川・クラマス川にはぐくまれてきた「自然への畏敬の念」の深さをうかがわせた。
サンフランシスコでクリスさんと出会い結婚した亜希さんは、夫の故郷へ「Uターン」した直後は「日本人ということもあり、部族の伝統行事には参加させてもらえなかった」と述懐。しかし、暮らす中で徐々に認められ「ようやく仲間に入れるようになった」と笑顔を見せ、「アイ・ユー・クウィー(こんにちは)」「チュー(さようなら)」といったユロック語もジョークを交えて紹介。行事の様子や部族について学ぶ姿をSNSで発信していることにも触れた。
クリスさんは「部族の言語や文化は誰かが次世代に伝えなければ残らない。文化は、自分たちのことを伝えるというだけでなく、違う地域の人同士がお互いを理解することも助けてくれる」と語り、若者が進学などで地元から離れてしまうことも多い中、それらの継承に取り組んでいく姿勢を見せた。またこれに対し亜希さんも「陸前高田でも似た状況があると思う。どうしたらそれぞれの文化を次世代へ伝えていけるかといった課題も海を越えて共有し、一緒に乗り越えていければ」と述べ、会場の人たちを大きくうなずかせた。
今年4月にクレセントシティを初訪問し、三味線などを披露した高田高2年の菊池郷平さん(17)は「行った時には分からなかった文化や場所を知ることができ、より姉妹都市に興味がわいた。日本とアメリカの文化の違いにも興味があるが、(ユロック族は)自然に対する思いとか、陸前高田の人と近いものがあると感じた」と話していた。






