熊本地震の影響で中止に 陸前高田での緊急消防援助隊全国合同図上訓練 参加予定の市消防本部 状況受け止め思い寄せる
令和8年8月1日付 1面
7月28日に熊本県熊本地方で発生した令和8年熊本地震は、31日も安否不明者の捜索活動などが行われた。この災害発生に伴い、陸前高田市では、30日に市消防防災センターで予定されていた第7回緊急消防援助隊全国合同訓練(総務省消防庁主催)の図上訓練が中止となった。参加予定だった同市消防本部(及川貴美人消防長)の職員らは「(訓練中止は)致し方ない」と被災地の状況を注視しつつ、有事を想定した備えの重要性を胸に刻み、緊急対応に向けて気を引き締める。
緊急消防援助隊(緊援隊)は、各地域の消防機関では対応しきれない大規模な災害が発生した場合、消防庁長官の指示により出動する。消防庁主催の全国合同訓練は、緊援隊の技術および関係機関との連携能力の向上を図ることなどを目的に、おおむね5年ごとに開催。今回は、図上、実動訓練ともに初めて東北が会場となり、図上訓練は北海道、青森、岩手、宮城各県で30日に予定されていた。
本県では、県庁と県防災航空センターに加え、指揮本部・指揮支援本部運営訓練の会場として、陸前高田市消防本部と久慈広域連合消防本部が選定された。訓練は、本県沖を震源とするマグニチュード9クラス、最大震度6強の地震が発生し、北海道および東北地方の太平洋沿岸部を中心に、火災や建物の倒壊、津波浸水などの複合的な災害が多発したという想定で、陸前高田市消防本部からも全職員が参加するはずだった。
熊本地震は、熊本地方の深さ16㌔の地点で発生。マグニチュードは7・1で、宇城市と氷川町で最大震度7を観測した。熊本県が31日午後3時現在でまとめた被害状況によると、人的被害は死者35人、重傷者6人を含む131人。避難者は9100人余りで、停電や断水など、インフラにも大きな影響が生じている。
大規模な災害発生を受け、九州や中国地方など、熊本県の近隣県に緊援隊出動の要請がかかった。図上訓練に参加予定だった地域からも出動していることから、消防庁は訓練の中止を決定。及川消防長は「緊援隊の出動や受け入れの計画はあるが、今回の訓練はその実効性を検証し、被災地での活動を経験している指揮支援の方々からアドバイスをいただくいい機会と捉えていた。中止は残念だが、致し方ない」と語る。
15年前の東日本大震災時は、発生当日から段階的に44都道府県の緊援隊が被災地で活動し、陸前高田市には、埼玉、千葉、福井、宮崎各県などから支援が入った。令和7年2月の大船渡市大規模林野火災では、15都道県から延べ2万6000人以上の隊員が出動して消火活動にあたり、高田町の夢アリーナたかたは、広域防災拠点として、活動する隊員らの休息、宿営場所の役割を果たした。
及川消防長は震災当時を振り返り「『一人でも多くの人を救いたい』と高い志を持って来ていただき、本当にありがたかった。その姿を見ていた職員は『何かあったら次は自分たちが』との心持ちでいる」と感謝の念を抱く。
今回の熊本地震については「二次的な爆発事故も含め、予期できない災害で、日頃から準備、訓練を行う必要性、大切さを改めて感じた」と気を引き締め「われわれも震災を経験しており、離れた場所でも被災地の気持ちは痛いほど分かる。亡くなられた方々の冥福を祈る。ライフラインも途絶し、夏の暑さもある中、復旧、復興も大事だが、まずは自分の命を守ってほしい」と思いを寄せる。






