カーボンオフセット 旅行にも J─クレジット購入で旅程の排出CO2を実質ゼロに ㈱RTBがプラン提供 環境に配慮した仕組み実現

▲ カーボンオフセットの仕組みを取り入れて実施された郁文館夢学園の研修旅行

 自分で削減しきれない分の二酸化炭素(CO2)の排出量を、ほかの場所で実現したCO2の削減、吸収分で埋め合わせする「カーボンオフセット」の考え方が、旅行業界にも取り入れられている。旅行の行程で排出されるCO2を、国の制度で認証されたカーボンクレジットの購入でオフセット(埋め合わせ)し、環境に配慮しながら旅ができる仕組みで、陸前高田市では、脱炭素先行地域の取り組みにも合致することから、旅行会社㈱陸前高田アメイジングトリップ・ビューロー(村上清代表取締役、RTB)がプランを取り扱う。先月下旬には、この仕組みを取り入れた初の旅行が市内で行われ、関係者は今後の広がりに期待を込める。(菅野弘大)

 

 カーボンオフセットは、日常生活や経済活動で避けられないCO2等の温室効果ガスの排出について、量に見合った削減活動などに投資することで、排出される温室効果ガスを埋め合わせる考え方。国では、植林や間伐をして管理した森林のCO2吸収量を「クレジット」として認証する「J─クレジット制度」を展開しており、クレジットとして認められたCO2吸収量は、1㌧ごとに売買が可能。購入者側は、企業活動などで排出されたCO2量に相当するクレジットを購入することで、オフセットができる。
 同市では、同制度を活用して森林クレジットを販売。気仙町内の市有林のCO2吸収量を販売し、その収益は市の森づくり基金に積み立て、市内の森林整備をはじめとした財源に充てるなど、林業振興における好循環を生み出している。
 旅行業界においても、カーボンオフセットの考え方を取り入れた商品が注目を集めている中、RTBでもプランを提供。今回は、市と「企業等による森づくり制度(企業の森制度)」に関する協定を締結している東京都の学校法人郁文館夢学園が、7月に市内で実施した「SDGs未来都市研修」で、東京─一ノ関駅間の新幹線と、一関─陸前高田間の貸し切りバスの往復分で排出されたCO2のオフセットを実行した。
 オフセットには、企業の森制度で市と協定を結んでいる総合印刷大手・TOPPAN㈱(本社・東京都)と環境コンサルティング会社㈱ウェイストボックス(本社・愛知県名古屋市)が共同で開発したシステム「みんなのカーボンオフセットⓇ」を利用。同システムは、クレジットとして認められたCO2吸収量を1㌔単位で小口購入できるのが特徴で、RTBは同システムから旅行にかかるCO2排出量に相当する市のJ─クレジットを仕入れて販売した。利用客は、RTBを介してJ─クレジット分を旅行代金に上乗せする形で支払うことで、オフセットができる仕組みになっている。
 関係者の一人は「陸前高田市に旅行に来て、同市有林のCO2吸収量でオフセットすることで、J─クレジットの売り上げが市に入る。このお金は、市の森づくり基金に入るため、陸前高田の森林保全に役立てられると自信を持って言える」と意義を語る。
 環境に優しい新たな仕組みを取り入れた旅行プランは、一般社団法人日本旅行業協会でも広報しているが、村上代表取締役(67)によると、東北で行うのはRTBが初めてという。観光客をはじめ、震災学習や修学旅行で同市を訪れる学生なども多い中、同代表取締役は「旅行でカーボンオフセットをやるかやらないかは、利用客が選択できるが、このプランがあるから『陸前高田に来て(オフセットを)やろう』という人もいるかもしれない。脱炭素先行地域の取り組みの一つでもあり、今後も各方面に提案しながら進めていければ」と見据える。