過去最低更新の見込み 8年度の秋サケ回帰予報 昨年から約4割減 震災前平均の0・1%に 県水産技術セ発表

▲ 過去最低となった昨年をさらに下回る予測の秋サケ

 県水産技術センターは、令和8年度の秋サケ回帰予報(9月~令和9年2月)を発表した。本年度の回帰数量は、過去最低の水準だった昨年度をさらに4割ほど下回る9400匹の見込みで、東日本大震災前の平均値の0・1%程度まで落ち込んだ。気仙では、ふ化場の処分を決定した漁協もある中、秋サケに代わる魚種の試験養殖も進められており、関係者が現状打破への方策を探っている。(齊藤 拓)


 同センターは、前年度の年齢別漁獲数量から回帰数量を推定し、予報として発表している。本年度の予報では、回帰数量は9400匹、26㌧で、過去最低となった前年の実績1万6700匹、42㌧をさらに4割ほど下回る見通しを示した。震災前の平均値(平成20~22年度)の768万匹、2万5053㌧と比較すると、ともに0・1%程度。
 回帰予測は4歳魚が半数以上だが、昨年度の4歳魚の実績と比較すると、4割ほどにとどまる。3、5歳魚は昨年並み。回帰時期は10月下旬が中心で、数量は全体的に昨年を下回る。河川遡上のピークは11月上旬となる見通し。
 昨年度の県全体の沿岸・河川累計漁獲数は1万6743匹(前年度比61・1%減)。大船渡市魚市場への累計水揚げ数は199匹(同72・1%減)と、前年対比の割合は県内で6番目に低い。重量は449㌔(同74・7%減)、平均単価は1860円(同49・7%増)だった。
 気仙における河川捕獲数の累計は、吉浜川が16匹(メス5匹、オス11匹)、綾里川が33匹(メス20匹、オス13匹)、気仙川が1668匹(メス654匹、オス1014匹)で、いずれも前年の2~3割程度だった。県全体の河川捕獲数は9302匹(同52・7%減)だった。
 採卵数は、吉浜川が5000粒(同70・6%減)、気仙川が151万粒(同69・2%減)。県全体でも807万7000粒(同59・4%減)と低迷する。盛川は昨年度、親魚捕獲施設の破損被害のため捕獲、採卵ともにゼロだった。
 近年の水揚げ実績の低迷を受け、サケふ化場施設を持つ大船渡市の盛川漁協では、養殖サーモンを含め他魚種への転換といった有効活用法を模索する考え。一方、同市の吉浜漁協は経費がかさむことを理由に、サケふ化放流事業の廃止と施設の処分を総会で決定。陸前高田市の広田湾漁協は本年度もサケ事業を計画に盛り込む一方、休止状態となっているふ化場については処分することを決めた。
 盛川漁協の佐藤由也組合長は「破損した施設の復旧は終了しており、網入れは10月ごろになりそうだ。施設は整ったが、まずは魚が来てくれないことには」と懸念を表す。
 気仙で取り組みが進むサーモン養殖については、陸前高田市で民間業者が昨年から本格的な事業化に着手し、今季はギンザケ294㌧を水揚げ。また、昨年からトラウトサーモンの試験養殖を始めた大船渡市の越喜来漁協は今年6月に初水揚げを行っている。