先祖供養の伝統つなぐ 陸前高田で二大七夕催行(動画あり)
令和8年8月8日付 1面
陸前高田市高田町の「うごく七夕」と気仙町今泉地区の「けんか七夕」は、7日に行われた。先祖供養を起源とし、東日本大震災での被災を乗り越え、人口減少が続く中でも、地域が一つになって伝統をつないできた。華やかな山車に加え、お囃子演奏や引き手の住民らの熱気がまちを包み込み、夏の暑さに負けない活気を生み出した。(6面に関連記事あり)
7年ぶりに10祭組の山車集結/高田町・うごく七夕

大小さまざまな山車が行き交い活気にあふれる七夕ロード
今年は大石、鳴石、和野、駅前、大町、荒町、中央、川原、長砂に加え、令和元年以来7年ぶりに復活を果たした松原の10祭組が山車を運行。昼と夜の2部制で、山車とともに活動拠点を出発した各祭組は、アバッセたかたやまちなか広場の前を通る「七夕ロード」を目指した。勢いのある祭り囃子のリズムに、引き手らが「よーいよい」とかけ声を合わせ、町内が活気に満ちた。
中心市街地では、各祭組が道を譲り合いながら運行。色とりどりの山車が七夕ロードに集結した光景は圧巻で、山車がすれ違う際には、囃子のテンポと力強さが増し、竹飾りの「ナンバン」をぶつけ合って、地域同士のつながりを再確認した。
うごく七夕実行委員会の石川宏委員長(74)は「人手不足などの難題も抱えながら、今年も無事に開催できて良かった。山車がすれ違う時の激しさや、山車が並んだ時の光景は、やはり見応えがある」と目を細めていた。
7年ぶりに山車を運行した松原祭組は、市役所職員らも引き手として加わり、昼の部が終わる間際に七夕ロードに到着。白砂青松の高田松原を感じさせる装飾の山車を揺らしながら、太鼓と笛の音を響かせた。
同祭組の中里哲代表(48)は「大変だし、疲れるが、『よく山車を作ったな』と声をかけてもらった。夜の部は太鼓をたたいて楽しみたい」と汗をぬぐった。
駅前祭組は、2年前に新調した山車を今年も運行。地元の小学生たちがデザインした「ツバキ」の装飾を施し、先祖の霊が帰るための目印とされるナンバンも、どの祭組よりも高く掲げた。
同祭組の熊谷栄規代表(59)は「震災で地域コミュニティーが変わってしまっても、この七夕の時だけは、震災前に戻れる」と祭りに出る意味を語った。(菅野弘大)
歴史ある行事 地域で未来へ/気仙町・けんか七夕

小学生を乗せて行われた「けんか」の練習
けんか七夕は、祭り保存連合会が主催。900年以上の歴史があるとされる伝統行事を未来につなごうと、今年も地域を挙げて準備し、美しい装飾を施した2台の山車を用意した。
午前中は、気仙小学校の5、6年生20人が二手に分かれて山車に乗り込み、太鼓と笛の演奏を披露。続いて、見物人らも参加して「けんか」の練習が行われ、子どもたちが乗った山車2台を軽くぶつけ、祭りの魅力を体感する機会を設けた。
笛を担当した藤原晴さん(6年)は、「みんなが声を出して楽しくできてよかったし、笛も上手に吹けた。今泉、気仙町のお祭りを楽しめた。中学生、大人になっても参加したい」と、地域の祭りを誇りに感じていた様子だった。
その後は、山車1台による練り歩きを実施。気仙町字町地内の本部前から金剛寺までの間を往復し、帰りには気仙保育所の年長児童9人も加わって地域に元気なかけ声を響かせた。児童らは太鼓演奏も披露し、見物人らのアンコールにも応えた。
菅野瑛茉ちゃんは「太鼓を上手にたたくことができ、みんなに褒められてうれしかった。小学生になっても太鼓をたたきたい」と笑顔を見せた。
午後は「太鼓お披露目隊」が地区内の高台地域を巡り、太鼓と笛の演奏を披露。会場に足を運べない地域住民らに祭りの雰囲気を届け、中には涙を浮かべながら演奏に見入る人の姿も見られた。
夜には山車2台を激しくぶつけ合う「けんか」が行われ、祭りは最高潮を迎えた。
連合会メンバーの千葉大輝さん(24)は「今年は雨続きで準備が大変だったが、本番は晴れてよかった。祭りの担い手が減っている中、われわれ若い世代が上の世代から受け継いでいかなければ。地域の方々への感謝の思いで続けていきたい」と力を込めた。(三浦佳恵)





