「暑さへの備え」避難所は 熊本地震教訓に対策急務 きょう震災15年5カ月 クーラー導入も自助必要
令和8年8月11日付 1面
7月28日に発生した令和8年熊本地震では、断水をはじめライフラインの被害だけでなく、厳しい暑さが被災地に追い打ちをかけている。平成23年の東日本大震災や昨年の大船渡市大規模林野火災では、寒さをしのぐ対応に力点が置かれた中、気仙での「暑さへの備え」は十分か。きょうで震災発生から15年5カ月。気仙3市町の現状を取材すると、スポットクーラーなどの導入が進む一方、施設間で差があり、住民による事前準備など「自助」の重要性も浮かび上がる。
大船渡市では、指定避難所84施設のうち、エアコンなど空調設備が整っているのは28施設(33%)。リアスホールや地区公民館など開設頻度の高い14施設のうち、完備しているのは7施設(50%)で、令和7年度に導入を進めたスポットクーラーを含めると100%となっている。
スポットクーラーは88台を導入し、家庭用のコンセントに対応している100㌾電源で稼働するのは81台。残り7台はさらに強力な200㌾電源を要すもので、収容可能人数が多い施設に置く。
昨年7月、ロシア・カムチャツカ半島付近を震源に発生した遠地地震で津波警報が発令された際、避難所となった学校施設では、学校の協力を得てエアコンが配備された教室を開放。熱中症防止に向け、水分補給の対応にも追われた。
市危機防災対策課の伊藤晴喜課長は「災害時は普段できている暑さ対策ができなくなり、特に熱中症は災害関連死の要因にもつながりうるため、注意が非常に必要」と語る。今後も、避難所の暑さ対策は「命を守る」という大前提のもと、臨機応変な対応を関係機関に求める方針を掲げる。
そのうえで「有事の際の暑さ対策として水、経口補水液、スポーツドリンクなど備蓄品も重要。エアコンが使えなくなることも想定し、うちわや保冷剤、冷却シートなども必要だ。携帯型の扇風機など、各自で備えの徹底をお願いしたい」と、住民の自助の大切さも呼びかける。
陸前高田市は、コミセンや公民館、学校体育館の計26カ所が指定避難所となっている。比較的新しく整備されたコミセンにはエアコンはあるものの、部屋によって有無が分かれる。また、学校体育館には基本的に配備されておらず、施設によって冷房対応で差があり、同市でも避難時はうちわや冷却グッズを持参するなど、自助での準備に理解と協力を求める。
市議会6月定例会でスポットクーラー購入費を予算化し、導入予定台数は42台。指定避難所に1台ずつ、体育館などさらに必要な施設では多く配備する方針で、市防災課では「なるべく早く手配したい」とする。
スポットクーラーは、避難所開設時だけでなく、日常的に使用することも可能とする方向で調整する。また、指定避難所の学校体育館に冷房がないケースでは、学校側と相談して冷房のある教室を開放した実績もある。
昨年7月の遠地地震に伴う避難警報発令時は、高田町のアバッセたかたなどから指定避難場所となっている屋外の本丸公園に多くの住民らが避難したが、公園内では直射日光を避ける建物がなく、暑さへの対応が課題となった。市では、日よけやプライバシーの確保にもつながるテントに加え、備蓄倉庫や「たたくと冷える冷却剤」の確保も検討している。
地震・津波発生時だけでなく、台風をはじめとした豪雨による洪水、土砂災害での避難も考えられる。住田町では、有事の際に緊急的に一時避難する「緊急避難場所」と、避難者が災害の危険性がなくなるまで、または自宅に戻れなくなった人が一時的に滞在する「避難所」をそれぞれ指定している。
近年、暑さで苦慮した避難対応はないが、避難所16カ所のうち、半数を占める体育館施設には冷房設備がない。暑い日は大型扇風機で対応する。昨年から随時購入しているスポットクーラーは、有事の際に活用できるよう、運用に向けた準備も進める。
暑さに不慣れな住民に加え、高齢者への対応など、災害時にはきめ細かい対策が求められる。町総務課では「暑さ対策に限らず、避難への備えをそれぞれ事前に確認してもらいたい」と住民に呼びかける。






