「よいやさ」で地域一つに 下矢作灯篭七夕 台風影響で夜の部のみ催行

▲ 幻想的な光を放つ灯籠山車の前で力強いお囃子を披露する下矢作地区の住民ら

 陸前高田市矢作町の下矢作地区で11日、毎年恒例の「下矢作灯篭七夕祭り」(実行委員会、下矢作灯篭七夕伝承会主催)が催行された。台風15号に伴う暴風警報により、昼の部は山車運行、お囃子披露ともに見送ったが、夜の部は計画通り実施。幻想的な光を放つ灯籠山車が地域を巡行し、子どもや大人による太鼓、笛の演奏で台風を吹き飛ばすほどの活気が生まれた。
 同七夕は、地元の夏を彩る風物詩として親しまれていたが、交通状況の変化や住民減などを背景に長らく休止。東日本大震災後に復活への機運が高まり、平成27年、約50年ぶりに「鎮魂と伝承」をテーマに据えて再開した。コロナ禍で令和2、3年は中止し、4年に復活。今年は再開から10回の節目となり、住民らは6月下旬から山車制作、7月からお囃子の練習に取り組んできた。
 この日の同市は、台風15号の接近により、強い風雨に見舞われた。実行委では、暴風警報が発令されている状況を踏まえ、昼の部の山車運行は中止。午後4時すぎに警報が強風注意報に変わったことを受け、夜の部の開催を決めた。
 出発式では、鮮やかなアザフに彩られた灯籠山車に加え、地元の子どもたちが手書きしたミニ山車をお披露目。8日に同地区で行われた迎え火行事にも参加した二胡奏者の真真さん=千葉県流山市=も紹介され、佐藤信一実行委員長(77)は「皆さんのパワーで台風を吹き飛ばし、いよいよ山車が動きだす。年々参加者が増え、老若男女が参加する一大イベントとなった。事故なく楽しい祭りにしよう」と地域一丸で行事の成功を誓い合った。
 山車の中に設置した500本を超えるろうそくに火をともし、午後6時すぎにコミセンを出発。住民らは「よーいよい」と威勢の良いかけ声を出しながら山車を引き、地域を練り歩いた。道中の地元商店前やBRT陸前矢作駅前で山車を止め、子どもたちでつくるお囃子グループ「チームカラフル」や大人たちが練習を重ねてきたパフォーマンスを披露。昼の部が開催できなかったとあって、お囃子の演奏にも一層熱が入り、力強い太鼓と美しい笛の音色が地域を包み込んだ。
 村上幸太郎さん(矢作小5年)は「練習してきた成果を発揮でき、たくさんの人に見てもらえて楽しかった。これからもずっと参加したい」と伝統継承に意欲を見せた。
 コミセンに戻ってからも、お囃子の演奏は続き、アンコールを重ねて盛り上がりを見せた。伝承会の藤倉泰治会長(76)は「子どもも大人も頑張り、地域から温かい声援をいただいた。この一日を忘れず、これからも頑張っていこう。下矢作灯篭七夕、万歳」と万感の様子だった。