先祖供養の祈り 気仙各地で 初盆の家庭など巡る お盆回向念仏剣舞 上有住五葉では約70年ぶりに(別写真あり)
令和8年8月16日付 7面
盆の中日に当たる15日、念仏を主体とした郷土芸能を庭先で踊る追善供養の行事「回向」が気仙各地で繰り広げられた。大船渡市では毎年恒例の、住田町上有住の五葉地区では約70年ぶりとなる「お盆回向念仏剣舞」が地元の芸能保存団体によって行われ、故人や先祖への祈りを込めた剣舞が披露された。
このうち、大船渡市大船渡町の赤澤芸能保存会(平山徹会長)は、総勢50人ほどが二手に分かれ、初盆を迎えた家庭など町内の15世帯を訪問。小学生から大人までの同保存会員らが、市無形民俗文化財に指定されている「赤澤鎧剣舞」を堂々と演舞した。
明治時代から140年以上の歴史を持つ同町上山の平山清喜さん(77)方では、敷地内に建てられた墓前で勇壮な舞を披露。地域住民に親しまれている西光寺(富澤康磨住職)にも赴き、境内で鎮魂の願いを込めた剣舞を奉納した。
赤澤鎧剣舞は、同町の赤沢・上山・中央通りの3行政区で伝承されている。昭和60年から大船渡北小学校の運動会で児童らが踊るようになり、平成25年には同剣舞をより深く学び、踊る「郷土芸能部」が同校に創設されるなど、後継者不足が叫ばれる中で若い世代が多く参入している。
平山会長(81)は「昔から伝わる仏前供養であり、雨が降らず行うことができてよかった。保存会のメンバーも年々増えてきていて、いい傾向だと思う。これからも継承し続けていきたい」と話していた。

初盆を迎えた家の前で五葉念仏剣舞を披露する会員ら
一方、住田町上有住の五葉地区では、五葉念仏剣舞保存会(川村勝人会長)による回向が行われた。約70年ぶりに実施され、初盆を迎えた家を回った会員らが伝統の舞で故人や先祖の霊を供養した。
300年以上の歴史があるとされる同剣舞。昭和33年に一時途絶えたが、地元中学生を起点とする再興の機運から昭和63年に復活した。昨年は町の無形民俗文化財に指定された。
復活後は地域イベントで剣舞を披露。昨年、保存会メンバーが亡くなったことを受け、以前から検討していたお盆の回向を約70年ぶりに行うことにした。
この日は、2人のささらを含む踊り手と囃子方の会員計15人が参加。初盆を迎えた3軒を歩いて回り、「念仏踊り」「波合せ」「五ケ棒」といった各演目で熱のこもった舞を披露した。
昨年に妻を亡くした高萩久之さん(83)は「急な出来事で、今でも落ち着かないが、このように供養していただきありがたい」と感謝。
保存会事務局の佐々木喜之さん(52)は「近所の人にも見に来ていただきうれしかった。来年以降もできれば継続したい」と話していた。





