ニホンザル管理計画策定へ 五葉山山系で増加傾向鮮明 農業、生活被害防止見据え 7年度 群れ新規確認も
令和8年8月20日付 1面
大船渡市や住田町をはじめ、五葉山山系でニホンザルによる産業、生活被害への影響が問題視される中、県による初のニホンザル管理検討協議会が18日、盛岡市内で開かれた。令和7年度に開催した専門家会議を受けての設置で、来年度を初年度とする管理計画・管理実施計画の素案を巡り意見を交わした。7年度の生息状況調査では、群れが新たに確認されたほか、個体数を計測した4群の頭数は計208頭と増加傾向が鮮明。農作物・生活被害の軽減に向け、素案では捕獲の必要性も盛り込まれているといい、計画策定の行方が注目される。(佐藤 壮)
管理検討協議会は学識経験者や関係団体、大船渡市と住田町を含む行政の各関係者11人で構成。冒頭、県環境生活部自然保護課の引屋敷努総括課長は「大船渡市や釜石市、住田町で農作物被害や生活被害が増加傾向になっているほか、調査では生息域も変化していることも明らかになった。構成員の皆さんには、忌憚のない意見をお願いしたい」とあいさつした。
会長には、山内貴義岩手大学農学部准教授を選出。県からは、令和7年度に実施したニホンザル生息状況調査の結果が示された。
この調査は五葉山周辺の大船渡市、釜石市、住田町に加え、宮古市、陸前高田市、大槌町、山田町に生息するニホンザルの生息有無、個体群数・個体数の把握が目的。結果、県内にニホンザルの群れが分布する地域は五葉山周辺の3市町のほか、宮古市と大槌町にも存在し、新規確認を含む複数の群れがあることが明らかになった。
五葉山山系のうち頭数が判明したのは、仙人群(釜石市)40頭、中沢群(住田町)78頭、高森群(同)56頭、六郎群(大船渡市)34頭で計208頭。4年度の県調査では、五葉山山系4群で115頭以上だった。仙人群と中沢群、六郎群は加害レベルが5段階中4で、高森群は同3となった。県は「4は高い状況で、下げていかないといけない。ただし、捕獲をすればいいというものではなく、群れによって最適な選択をするのが重要」との認識を示す。
7年度の調査では、個体数を確認した4群のほかに、桧山群(住田町)、赤坂峠の群れまたは鳩ノ峰群(釜石市)、大沢群(釜石市、大船渡市、住田町)、大住群(大船渡市、住田町)での生息も把握。頭数は桧山群で40頭超が見込まれ、その他は未調査となっている。4年度調査時に比べ、個体群数、個体数ともに増加傾向にあることが明らかになった。
この日は9年度を初年度とする5年間の第1次ニホンザル管理計画と、9年度ニホンザル管理実施計画の素案を協議。非公開で行われた。
終了後の県側の説明によると、素案にも捕獲の必要性は盛り込まれているが、具体的な管理目標頭数の設定には慎重な姿勢を示す。県内では、自治体ごとに防護柵設置や追い払いを行っているが、今後は農業被害や生活環境被害の防止に向け、加害性や攻撃性の高い個体については捕獲を許可するなど、計画策定を通じて基本的な考えを整理する方針。群れごとの対策も重要になるという。
県内では捕獲実績が少ない中、捕獲方法や関係団体との連携体制構築も今後の検討課題となる。他県に比べ、県内に生息するニホンザルは少なく、五葉山山系の「希少生物」との認識から、生息域を守る考え方と住民の安全・安心の両立に向け、今後も調整を重ねる。
引屋敷課長は「ニホンザルは希少種の野生動物という側面もあり、群れの維持はやりながらも、昨今の状況を鑑みて、被害の軽減は必要ということで議論があった。群れごとの加害レベルや各市町の対策レベル、群れの大きさなどを考えながらどこまで対策ができるかを検討したい」と話す。
本年度のニホンザル生息調査は、未調査群のうち、被害発生がある群を優先して実施。調査報告と管理計画の最終案報告は来年2月に予定する第2回協議会で行われる見通し。





