知事らに課題解決訴える 大船渡で気仙両市による対県要望 津波防災や林野火災復旧 市長らが実情を説明

▲ 陸前高田市からの要望について所感を述べる達増知事(中央)

 気仙両市による対県要望は20日、大船渡市猪川町の大船渡地区合同庁舎で行われた。両市の市長が達増拓也知事に要望書を提出し、両市の実情や課題を説明。陸前高田市は高田地区海岸周辺の津波避難環境の向上や国が設置を進める防災庁の施設誘致、大船渡市は大規模林野火災からの森林再生に向けた支援策の拡充などを要望し、課題解決に向けた県の支援を知事に訴えた。(齊藤 拓)


 対県要望は、次年度予算編成作業を前に、市町が抱える諸課題の解決に向けた予算配分や事業実施を求めるもの。要望事項は、大船渡市が18項目、陸前高田市が19項目。両市からは、市長をはじめ各部長や市議、県からは達増知事と県沿岸広域振興局の部長らが出席した。
 はじめに、陸前高田市の佐々木拓市長が要望項目を説明。
 このうち、高田地区海岸周辺における津波避難環境の向上については、迅速な避難行動の開始と避難速度の向上を目的に、高田松原の松林の間伐などによる避難路の拡幅と増設、第2線堤の歩行者用階段の増設や避難用すべり台の整備、津波避難時における周辺交差点の信号機の適切な制御を要望した。
 関連して、国が災害対応の強化に向けて設置を進める「防災庁」について、津波防災の研究機関や専門人材を育成する「防災大学校(仮称)」を同市に誘致することも訴え、「津波防災への先端的な取り組みを陸前高田が率先して行い、全国にも見てもらいたい」と理解を求めた。
 対して県側は、海岸周辺の避難環境向上に関して「6月から関係者との情報交換を開始しており、具体的な計画が明らかになり次第、円滑な避難ができるよう検討を進める」と説明。
 また、防災庁施設の誘致については「今後、施設の規模や機能に関する検討が行われるものと考えており、県内市町村の動向を確認しながら誘致へ取り組む」とした。
 達増知事は「高田松原から避難するうえでの課題や克服方法は、市と県で共有して対処することが大事。実効的な防災体制を支援したい」と述べた。防災庁施設については「まずは県に誘致するよう進め、われこそはという市町村は声を上げてほしい」とした。
 続いて大船渡市は、渕上清市長が要望項目の説明を行った。
 このうち、令和7年度に着手した大規模林野火災からの森林災害復旧事業については、延焼範囲が広大かつ急峻であることに加え、今年4月に大槌町で発生した林野火災によって林業事業体の労働力の分散が懸念されている。4年間での事業完了が困難となっている状況から、支援策などの拡充を求めた。
 また、森林再生基盤として重要な森林管理道甫嶺線の早期完成と、被災木の伐採や処理にかかる補助事業への財政支援措置も併せて要望した。
 これについて、県側は「国に対しては、必要な予算を十分にとるとともに財政負担の軽減を繰り返し要望している。大槌町の復旧と同時期かつ長期に行う必要があるため、森林災害復旧事業の実施期間を延長するよう国に要望した」と、これまでの取り組みを説明した。
 達増知事は「東京で開かれた火災の報告会にも関係者や関心のある人が大勢集まり、再生・利用・植林に取り組む形ができている。地元の底力にプラスしてさまざまなつながりを生かしたい」と所感を述べたほか、林業事業体の労働力については「県森林組合連合会のネットワークなどを活用して確保したい」と話した。
 対県要望は、24日(月)に気仙広域連合が、31日(月)に住田町がそれぞれ同庁舎で行う。