カエデ樹液の活用に進展 「エール」…今年から販売開始 「サイダー」…ふるさと納税登録
令和8年8月26日付 7面
住田町では、上有住五葉地区などの地域団体・組織が連携し、地域に自生するイタヤカエデを活用したアルコール飲料「メープルエール 住田森林のしずく」と、炭酸飲料「メイプルサイダー」の開発、販売に取り組んでいる。メープルエールは今年初めて販売体制が整い、メイプルサイダーは、町のふるさと納税の返礼品に初登録された。地域の特産品を生み出すプロジェクトが、着実に進展を見せている。(阿部仁志)

メープルエールをPRする藤井さん
メープルエールは、町内の農業者らが平成24年度に設立した住田食材研究会(及川喜悦会長)が開発。地域資源の発掘、発信により町の活性化を図り、町内に豊富に存在するイタヤカエデの樹液を使った商品開発に取り組み、令和3年には一関市の世嬉の一酒造㈱が製造を請け負って商品化にこぎつけた。昨年までは主に住民や関係者に配布していた。
一方、メイプルサイダーは、持続可能な地域づくりを目指す町の取り組み「小さな拠点づくり」で平成29年に発足した「五葉地域づくり委員会」(紺野恵子会長)が開発。メープルエールの事例を参考にサイダー作りに着手し、令和4年に同社に製造を依頼して商品化した。はじめはメープルエールと同様に地区住民らへの配布にとどめていたが、昨年から地元の住田観光開発㈱に販売を委託している。
それぞれの企画には、五葉地区の文化政策・まちづくり学校(ふるさと創生大学、千葉修悦代表理事)も、樹液採取などで参画。町の特産品を生み出そうと、3者が連携している。
今年は、2~3月に約200㍑の樹液を採取。この樹液を使い、瓶詰めのメープルエール(330㍉㍑)を約300本、同じくメイプルサイダー(同)を約400本作った。

新旧ラベルのメイプルサイダーを持つ紺野会長
このうち、メープルエールは住田観光開発が「世嬉の一酒造」から仕入れ、世田米の道の駅・種山ヶ原ぽらんで販売(1本税込み935円)している。200本を販売分とし、残り100本はふるさと創生大学が買い取って関係者用とした。
同研究会メンバーで初期から製品開発に関わる藤井洋治さん(77)によると、メープルエールの販売はもともと構想としてあったものの、酒の販売に関わる法的な制約をクリアするまでに時間がかかったという。
藤井さんは「市販のビールとはまた違った味わいで、飲んだ人からは『上品』『高級感がある』といった声が聞かれる。住田町が目指す『森林・林業日本一の町』の味と思ってもらえればうれしい」と語る。
メイプルサイダーは、住田観光開発が運営する同駅や上有住の滝観洞観光センターのほか、世田米のイーガストすみたで1本税込み700円で販売している。
今年は、町のふるさと納税の返礼品として初めて登録がかない、ラベルも刷新。緑を基調とした存在感のあるデザインが目を引き、昨年よりも売り上げが伸びているという。
紺野会長は「五葉でこうした製品が作られていることを広く知ってもらいたい。継続は力。課題となっている採算面の改善などを見据えつつ、これからも取り組みを続けていきたい」と話していた。






