地域の未来ともに考えたい 東京の高校生が大船渡で挑戦 村田さん(山脇学園 高2年)ビジネスプラン応募へ

▲ 気仙を中心とした若者の「探究」を支援するプラットフォームをつくりたいという村田さん。地元の高校生らとも話しながら、ビジネスプランコンテストに応募する内容を固めているところだ

 今年11月に1次審査が行われ、来年2月に最終審査会が開催される「大船渡ビジネスプランコンテスト」に、東京都在住の高校生・村田華音さん(16)が挑戦を決めた。昨夏、大船渡市のさいとう製菓㈱でインターンシップに参加したことをきっかけに、地域課題の解決や中高生が何かに挑戦する機会を後押ししたいと考えるようになった村田さんは、コンテストの結果いかんにかかわらず、地元住民との協働で「若者の探求プラットフォーム」づくりに取り組む計画を温め、気仙とも末永くかかわり続けたいとする。(鈴木英里)


 村田さんは私立山脇学園高校(東京都港区)に通う2年生。東京育ちながら、中学時代に過疎地域を取り上げたテレビの特集番組を見て、地方創生に興味を持ち始めた。さらに、中学3年の夏休みに家族で東北一周旅行に出かけたことや、その後に福島の未来にまつわる作文コンクールへ応募し、入賞したことで、「もっと東北や震災被災地のことを知りたい。実際に地域へ飛び込んで活動してみたい」との思いを強めていったという。
 地方滞在の形を調べる中、大船渡市での企業研修を選んだのは、同市などに拠点を置くNPO法人wizが昨年募集したさいとう製菓でのインターンシップ内容が、「食品ロスの削減」や「地域社会への貢献」など、村田さんの取り組みたいテーマと合致していたから。応募対象は大学生だったが、wizの後押しで参加できることになり、8~9月までの1カ月半にわたって、商品開発や工場見学者対象のスタンプラリー実施などに取り組んだ。
 その後、東京での高校生活に戻った村田さんだが、大船渡での経験が胸に焼き付くあまり、しばらくは「抜け殻」のようだったという。「一度行っただけで終わらせたくない。次につながるものを形として残したい」という思いが、いつ燃え上がるとも知れない炎としてくすぶり続け、再訪の希望は増すばかりだった。
 同ビジネスプランコンテストへの応募は、そんな情熱を結実させるのに最適な手段と考えた。「部外者である自分だからこそ、見えるもの、できることがあるのでは」「私みたいな中高生が何かに挑戦したいと考えた時に後押しできて、しかも地域の中で人を循環させられるような仕組みをつくれたら」──やりたいことが具体的に見え始めた。
 まずは秋の1次審査突破が欠かせないが、村田さんの挑戦はそれだけにとどまるものではない。今年も7月下旬から約1週間、同市に滞在し、さいとう製菓で再びインターン。フードロス削減と、廃棄されるものに付加価値をつけて再利用する「アップサイクル」の観点から、不ぞろいの「かもめの玉子」を活用した商品を山脇学園の文化祭で配布し、アンケートを取るなどして今後に生かす考えだ。
 「大船渡で出会った皆さんは本当に優しく、親身に接してくださる。何も分からずに来た私が、安心して挑戦でき、自信を持てたのもそのおかげ」と語る村田さんは将来、地方の医療格差を是正するため、根底から仕組みを変えるような仕事に就きたいという。そう考えるようになったのも、住民から地域医療の未来に対する不安の声を聞いたためだ。
 地方にまつわる活動をしていることを、進学や就職のための「実績づくり」であるかのように言われる経験も少なくなかった村田さん。「本当に興味を持って行動しているだけなのに、と落ち込むこともあった。けれど、実際に足を運び、人に会うことでしか学べないものがあるという点や、『やっぱり私は人と対話するのが好きなんだ』との実感を、大船渡に来て再確認した」と語り、その出会いの喜びを地域に還元するべく意気込んでいる。