遠隔操作で安全確保を 林野火災現場でラジコン作業車実証 腐朽進み「危険木化」対策急務(別写真あり)
令和8年8月29日付 7面
大船渡市大規模林野火災現場で本格化する被災木の伐採作業を見据え、県が三陸町綾里で進める防災林造成事業現場で28日、遠隔で操作できる林業機械の活用研修会が開かれた。林野火災現場では初の実証で、作業員が急斜面での伐採で操作する際の安全性などに理解を深めた。損傷が激しい木は月日の経過とともに腐朽が進み「危険木」と化している中、作業の安全確保と効率化に向けた技術導入の行方が注目される。(佐藤 壮)
この研修会は、林野火災の復旧現場における作業安全性の向上や効率化に理解を深めてもらおうと県が企画。県や同市、今年大規模林野火災が起きた大槌町の行政関係者に加え、気仙内外の林業従事者ら合わせて50人余りが参加した。
冒頭、県森林整備課の高芝俊雄総括課長が「大規模林野火災跡地では相当量の伐採が見込まれ、作業の安全確保と効率化が重要課題。被災した森林の早期復旧に向けた取り組みの一助になれば」とあいさつした。
公開された現場は、三陸町綾里の小路地内で展開されている防災林造成事業。高さ20㍍超のアカマツが林立しているが、どれも木の上部まで焼損被害を受け、上部は樹皮がはがれ落ちている状態となっている。
現場には、福岡県篠栗町の松本システムエンジニアリング㈱(松本良三社長)が取り扱うラジコン式伐倒作業車「シン・ラプトルⅡ」が用意された。運転席はなく、作業員は伐倒場所から離れ、専用のコントローラーで操作する。
1台3800万円(税別)で、すでに数台が稼働しているが、林野火災現場での伐採には初めて使用された。一般的な現場とは異なり、伐倒面の炭化が進んでいることから、機械に取り付ける刃物は傷みが進みやすいチェーンソータイプではなく、カッター型を選択した。
角度45度の急斜面にも対応し、チェーンソーによる伐採よりも2~3倍の作業量が期待できるという。現場では比較的スムーズに作業車が動き回ったが、伐倒した木が地面に横になる前に折れるなど、改めて危険木に対する安全確保の重要性が浮き彫りとなった。松本社長は「落下物から作業車を守るガードを取り付けるといった改良も考えていきたい」と語った。
見学した林業関係者によると、作業員がチェーンソーで伐倒を行う場合、通常の樹木伐採に比べ、木の重心が安定しないことで倒す方向を定めにくいほか、作業中に刃を入れていない部分から折れるなど危険性が高い。現場で伐採したアカマツの断面は、幹の外側が黒く変色しており、水分が行き渡らずに腐朽して枯死状態にあることが分かった。
大船渡市大規模林野火災の延焼面積は、昭和39年以降では国内最大となる3370㌶に及ぶ。激甚災害指定に伴う市の森林災害復旧事業は、伐採・搬出1248・7㌶、跡地造林1279・2㌶について国の事業査定を受けた。令和10年度までの計画となっているが、伐採を終えたのは20㌶余にとどまっている。
被災木の腐朽が進み、早期の伐採・搬出が求められる。公開現場では林業関係者が作業の効率性向上などについて情報交換する光景も見られた。






