浜の心意気 感謝込めて 「初さんま祭」雨もなんの 炭火焼き提供、箱売りに長蛇の列(別写真あり)

▲ 悪天候にも負けず香ばしさで活気を呼び込んだ炭火焼きサンマの無料提供

 「第14回大船渡市初さんまうにアワビ帆立かきホヤわかめ祭」(未来蛸ノ浦実行委員会主催)は8月30日、赤崎町の下蛸ノ浦漁港広場で開かれた。27日に市魚市場で水揚げされた生サンマを中心に約8000匹を炭火焼きで無料提供したほか、箱売り販売は4000箱を用意。浜の心意気を示す多彩な海産物販売や芸能ステージに加え、今年は熊本地震向けの募金活動も行われた。降雨にもかかわらず、県内外から多くの来訪があり、活気に包まれた。(佐藤 壮)


 実行委(鎌田仁会長)は、地元の鎌田水産㈱や赤崎町蛸ノ浦地区の有志で構成。同地区は東日本大震災で甚大な被害を受けた中、復興支援への感謝を発信しようと平成25年から開催し、「日本一早いサンマ祭り」として定着している。
 今年も県内外から人々が押し寄せ、漁港広場につながる赤崎町内の県道には車の列ができた。雨の中、午前7時前には岸壁周辺の駐車場には県外ナンバーをはじめ多くの車両が並んだ。
 箱売りサンマ販売コーナーの先頭で待っていたのは、滝沢市在住の柳村正美さん(74)。当日午前0時30分に下蛸ノ浦漁港に乗用車で到着し、車内で仮眠後、午前5時ごろから並んだ。「スーパーでは買えない価格で、最初に味わえるのがいい。箱売りが楽しみで、毎年早くに来ているが、年々人が増えているので、来年はもっと早く来ないといけないかな」と笑い、販売開始を待ち続けた。
 チンドン寺町一座や永浜鹿踊りのステージ披露に続き、開会式では、実行委の鎌田会長が「この祭りにサンマが間に合うか、本当に苦労した。昨年、一昨年のような漁況ではないが、皆さんが待っているからこそ開催できる」とあいさつ。さらに「熊本地震で大変な状況。震災支援への感謝から始まったイベントであり、協力をお願いしたい」と、熊本地震支援の募金も呼びかけた。
 無料提供のサンマ炭火焼きは、27日に水揚げされた生サンマを含む8000匹を用意。市観光物産協会が認定している「さんま焼き師」ら約50人が焼き台に並び、炭火の熱さに負けずに立ち続け、火加減を丁寧に見極めた。
 さんま焼き師で大船渡町在住の米田縁さん(33)は「今年で3回目の参加。雨にもかかわらず、多くの方でにぎわっている。このイベントの雰囲気が好きだし、個人では焼くことがない量を扱うので、私自身も楽しい」と瞳を輝かせた。
 一関市から訪れた千葉美尊ちゃん(4)は、母の美瑞姫さん(35)らと一緒に並んだ。受け取った炭火焼きサンマを食べると「とてもおいしい。ふわふわしている」と笑顔を見せていた。
 箱売りの鮮サンマは、1箱3~5匹入りを1000円で販売。1匹155㌘以上の「特大サイズ」4匹が入った箱は2000円とした。計約4000箱を用意したが、午前11時前には完売となった。
 来場者はカキやホタテの炭火焼きや各飲食出店業者の品々も味わい、多彩な食を堪能した。この日は気温が上がらず、焼きたての海産品やサンマのすり身が入った汁物など、体を温める食べ物が人気を集めた。
 特設ステージでは、地元内外を拠点とする歌手や舞踊団体が次々と出演。初回から前回まで実行委会長を務め、昨年亡くなった鎌田和昭氏の思い出にも触れながら、歌声や情感あふれる舞で活気を呼び込んだ。
 実行委によると、今年は悪天候に見舞われたこともあり、訪れた人々の滞在時間は短かったが、昼すぎまで駐車場は満杯状態が続き、来場者は昨年と同じ約1万5000人と推計。鎌田会長はステージ前の活況ぶりに目を細めながら「出演してくれる方々も含め、多くの人たちが楽しみにしてくれて、ありがたいかぎり。来年以降も続けていく」と継続開催を誓った。