日本遺産に住田町追加認定 文化庁が正式発表 「GOLD浪漫」気仙全域に拡大

▲ 「気仙川の砂金」など住田町の文化財が日本遺産に正式認定(資料)

 文化庁は1日、日本遺産「みちのくGOLD浪漫─黄金の国ジパング、産金はじまりの地をたどる─」の構成自治体に、住田町と一関市を追加認定したことを公表した。これにより、構成自治体は岩手、宮城両県の9市町となり、気仙の3市町すべてが認定された形。住田町では、追加認定の決定を喜ぶとともに、「気仙川の砂金」や「阿弥陀三尊像」など、〝黄金文化〟の過去と今をつなぐ文化財の魅力発信へさらに力を入れる。(阿部仁志)

 

 日本遺産は、地域の歴史的魅力や特色を通じて国内の文化・伝統を語る「ストーリー」を文化庁が認定する制度。現在105のストーリーが認定されており、みちのくGOLD浪漫は、奈良時代から昭和後期まで1250年余りに及ぶみちのくの産金史を点在する各文化財で紡ぐ内容となっている。
 みちのくGOLD浪漫の構成自治体は、令和元年に陸前高田市と平泉町、宮城県涌谷町、気仙沼市、南三陸町の5市町が認定されたあと、4年に石巻市、7年に大船渡市を追加認定。今回、新たに住田、一関両市町が追加認定となり、計9市町となった。
 住田町で認定された構成文化財は、「気仙川の砂金」(天然記念物)、「阿弥陀三尊像」(県指定有形文化財)、紺紙金字「大乗大集地蔵十輪経巻第二」(町指定有形文化財)、「野尻金山跡」(史跡)、「旧菅野家住宅」(建造物)、「大平・梅ノ木念仏剣舞」(同無形民俗文化財)、「採金道具一式」(民俗資料)の七つ。
 同町を源流として陸前高田市へと流れる気仙川は、現在も砂金が見つかり、町教委の職員が講師となっての砂金採り体験が継続的に実施されている。
 奥州藤原氏の時代から金が採取されていたとされる、世田米川向に位置する同金山跡や、三代当主・藤原秀衡が金採取従事者の安寧を願い贈ったと語り継がれる光勝寺の同像、町内で見つかった、秀衡が中尊寺に奉納したとされる国宝「紺紙金字一切経」の1巻とみられる経巻──など、いずれも奈良時代から砂金が採取され、奥州藤原氏や藩政時代の仙台藩を支えてきた町の産金史や、現在の取り組みなどが歴史的文脈として認められ、ストーリーに加えられた。
 町では、昨年に隣接する大船渡市がストーリーに追加認定された流れに続こうと、「産金の歴史息づく宿駅」を活用テーマに、認定を目指して申請手続きや魅力発信を進めてきた。今年3月には、陸前高田市で開かれた認定7周年記念シンポジウムに町職員が初登壇。先月29日には、日本遺産「みちのくGOLD浪漫」推進協議会(会長・遠藤釈雄涌谷町長)への新規加入が了承され、今回の認定を受けて正式加入を果たした。
 今後は、世田米地区のガイドや同町文化財ボランティア、三陸ジオパークとの連携、気仙川での砂金採りに対応できるインストラクターの養成などにストーリーを活用していく方針。同協議会の構成自治体とのつながりを生かした相乗効果にも期待がかかる。
 小向正悟副町長は「町内で行われてきた地道な活動や、長い歴史の中で受け継がれてきた文化というものが認められた形でうれしい。これからは、関係自治体との連携により、住田町だけではできないこともできるようになる。黄金文化を再認識するきっかけや、地域づくりの起爆剤とするため活用していきたい」と語る。