地域創造学で歴史探訪 国指定史跡「栗木鉄山跡」を見学 世田米小5年生 先人の暮らしに思いはせる(別写真あり)
令和8年9月5日付 7面
住田町の世田米小学校(田代由希校長、児童86人)の5年生15人は2日、世田米字子飼沢地内にある国指定史跡「栗木鉄山跡」を見学した。町独自教科「地域創造学」で地元の歴史文化や産業を学ぶ児童らは、森林の中に残る史跡を眺め、製鉄に携わった先人たちの暮らしに思いをはせた。(阿部仁志)
栗木鉄山跡は、明治13年から大正9年まで稼働していた製鉄所の遺跡。山間の地形を生かした「山地型高炉」は全国的に珍しく、日本の近代製鉄技術史上においても貴重な史跡とされている。
国内4位で、民間としては3位の銑鉄生産量を誇った時期があり、最盛期には従業員が500人余りいたとされる。郵便局、学校、職員住宅などを整備した「製鉄村」が形成され発展したが、第1次世界大戦終結後の急激な需要減少によって廃業した。
閉山後は国有林となった鉄山跡には、石垣や水路、高炉の位置などを示す遺跡が点在。昭和58年、国道改良工事の新ルートに跡地が含まれ消滅の危機にひんしたが、保存に向けて町による公有地化が進められ、平成9年に町史跡、11年に県史跡、令和3年には国史跡に指定された。
世田米小では、地域創造学の一環で、同跡地の見学を毎年行っている。栗木鉄山の文化的価値や、古里の歴史を伝えようとする人々の思いや願いに気づくことが狙い。
今年の5年生は、町が力を入れる林業をテーマに、古里の〝今〟を知る学習を1学期に展開。そこから、木材を用いた製鉄の〝過去〟へと視点を広げ、今回の見学につなげた。
講師を務めたのは、同町教育委員会の佐々木喜之教育次長補佐。現地で児童らを案内し、ポイントごとに立ち止まりながら優しい言葉で解説した。
背の高い木々に囲まれ、勾配のある道や、こけむした岩場などを通った児童たち。探検気分も味わいながら、第一高炉跡や第二高炉跡、事務所跡、生活の名残が感じられる水路跡などを興味深そうに見て回った。
佐々木補佐は、鉄を生産する過程で鉱石に含まれていた金が堆積し、従業員の臨時ボーナスにつながったエピソードや、小高い場所から橋を水平に渡し、そこから鉄鉱石や炭を炉に投入したという栗木鉄山ならではの工夫を紹介。そのうえで、「昔ここで働いていた人たちは、自然のことを本当によく観察し、知恵を駆使していた過去が分かる」と、言葉に先人への敬意もにじませた。
吉田陽奏さんは「もっと建物などが残っていると思ったけど、実際に来てみたら自然がいっぱいで、イメージしていた景色と違った」と驚きを表しつつ、史跡から伝わる当時の暮らしの気配を五感で受け止めた様子だった。






